内容説明
うま味調味料は日本で創出されて110年が経ち、世界で20兆円規模の産業に発展しているが、いまだにその産業経済・経営論は出版されていない。本書は、うま味調味料の誕生から製造法の変遷、業界参入メーカーの盛衰、味の素をはじめとする世界の主要メーカーの経営動向までを含めた、うま味調味料に関する初の総合的な産業経済論である。
著者は味の素在籍時から50年以上にわたりうま味調味料にまつわる資料を収集、分析、研究し、7年をかけてその成果を書籍にまとめた。単なる産業経済論にとどまらず、うま味調味料全般について専門的に学べる一冊となっている。
日本で初めて事業化したグルタミン酸ソーダをはじめ、その後の核酸系うま味調味料や、両者の相乗効果を利用した複合調味料、多様な風味調味料などにまで発展したうま味系調味料産業に加え、うま味を中心とした加工食品や関連多角化事業までを含めたうま味調味料業界の盛衰をまとめた。
さらに、日本企業のグローバル発展、約500社に及んだメーカーの出現などの全体像を総括。日本にとどまらず、世界の主要30社の詳細な経営動向の分析、激しい淘汰の中で寡占化した現在の世界の大手約10社の発展の推移から将来予測までを記している。
目次
序文
第I部 うま味とうま味調味料産業の概要
第II部 MSG 産業の抽出法による製造時代(1908-1960年頃まで)
第III部 MSG 産業の発酵法製造時代(1960年頃から現代まで)
第IV部 核酸系うま味調味料(5’-ヌクレオチド)産業の発展推移
第V部 うま味調味料の多様化
第VI部 うま味調味料事業の多角化
第VII部 うま味系調味料産業の特性とその成長発展への視点
第VIII部 うま味調味料メーカーの経営行動とその去就
あとがき
参考文献