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内容説明
「フェイクニュース」が、社会に只ならぬ影響を与えるようになって久しい。コロナ禍でも、誤情報が人々を攪乱している。本書では進化心理学を基にフェイクニュース、ひいては人と情報を取り巻く遺伝的・文化的背景を解き明かす。これにより、人々が「なぜだまされてしまうのか」「なぜ広めてしまうのか」が理解できるはずだ。そのうえで個人の情報リテラシー力強化による努力だけではなく、社会的な制度や取り組みが必要とされる背景にも触れる。
目次
はじめに
第1章 見かけがつくるフェイク──演出までには至らぬ装い
情報の信頼性は伝える人の印象に左右される
印象判断の源は動物の時代にさかのぼる
力強いリーダーにひかれる
ウソつき上手のウソは見抜けない
ウソ発見器は何を調べているのか
情報源の信頼の由来を確認しよう
[コラム1]なぜ男性の声は低いのか
[コラム2]サイコパスは政治家向き?
第2章 共感に訴えるフェイク──人の話を信じる理由
共感にもとづく行動は魅力的
だまし合いから信じ合いへの転機
共感を支えるミラーニューロン
ヒトは情報源を気にしない
商品よりも自分を売り込め
共感の利点と欠点を天秤にかけよう
[コラム3]チンパンジーは指さしがわからない
[コラム4]共感が強い人は苦労性
第3章 言語が助長したフェイク──想像の果たす役割
言葉がもつイメージを利用せよ
言語の発達がウソを容易にした
虚構を想像するサル
ウソも皮肉も使いよう
言語の切れ味の鋭さ
言語の限界を見きわめよう
[コラム5]呪いの言葉に効き目はあるのか
[コラム6]ブランドとフェイクの緊張関係
第4章 自己欺瞞に巣くうフェイク──承認欲求の暴走
酸っぱいブドウと甘いレモン
自己肯定によって集団の一員になる
自己欺瞞にまみれた私たち
正直者は〝うつ〟になる?
親切は評判づくりの手段
SNSで承認を求める
[コラム7]お祈りをしたくなるのはなぜか
[コラム8]ほめられるのが怖いインポスター
第5章 科学の信頼を利用したフェイク──未来予測の限界
事前事後比較のわな
科学とはパターン化による未来予測法
過剰生産される理論
確証バイアスが信念を深める
人に合わせる社会がもつ弱点
科学者は理論を主張する
[コラム9]なぜ車酔いをすると嘔吐するのか
[コラム10]信頼のおけるAIとは?
第6章 誤解から生じるフェイク──行動選択の偏り
損失回避のための選択
生き残りをかけたギャンブル
確率の誤解が生む確信
コミュニケーションがつくるフェイク
メディアがあおる感情
訂正されない誤解
[コラム11]「移民に犯罪者が多い」は幻想
[コラム12]科学記者の立場は弱い?
第7章 結束を高めるフェイク──部族意識の功罪
人心をつかむ大きな話
ウソ活用社会の登場
外に敵を作れば一体感が増す
多集団所属に伴う葛藤
集団先行の日本社会
陰謀論を超えて
[コラム13]愛情ホルモンが分断を生む?
[コラム14]集団の特性は文化由来か遺伝由来か
終章 フェイクとどのように対峙していくか
参考文献
感想・レビュー
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へくとぱすかる
チャー
まゆまゆ
リットン
武井 康則




