ちくま新書<br> だからフェイクにだまされる ──進化心理学から読み解く

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ちくま新書
だからフェイクにだまされる ──進化心理学から読み解く

  • 著者名:石川幹人【著者】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2022/05発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074799

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内容説明

「フェイクニュース」が、社会に只ならぬ影響を与えるようになって久しい。コロナ禍でも、誤情報が人々を攪乱している。本書では進化心理学を基にフェイクニュース、ひいては人と情報を取り巻く遺伝的・文化的背景を解き明かす。これにより、人々が「なぜだまされてしまうのか」「なぜ広めてしまうのか」が理解できるはずだ。そのうえで個人の情報リテラシー力強化による努力だけではなく、社会的な制度や取り組みが必要とされる背景にも触れる。

目次

はじめに
第1章 見かけがつくるフェイク──演出までには至らぬ装い
情報の信頼性は伝える人の印象に左右される
印象判断の源は動物の時代にさかのぼる
力強いリーダーにひかれる
ウソつき上手のウソは見抜けない
ウソ発見器は何を調べているのか
情報源の信頼の由来を確認しよう
[コラム1]なぜ男性の声は低いのか
[コラム2]サイコパスは政治家向き?
第2章 共感に訴えるフェイク──人の話を信じる理由
共感にもとづく行動は魅力的
だまし合いから信じ合いへの転機
共感を支えるミラーニューロン
ヒトは情報源を気にしない
商品よりも自分を売り込め
共感の利点と欠点を天秤にかけよう
[コラム3]チンパンジーは指さしがわからない
[コラム4]共感が強い人は苦労性
第3章 言語が助長したフェイク──想像の果たす役割
言葉がもつイメージを利用せよ
言語の発達がウソを容易にした
虚構を想像するサル
ウソも皮肉も使いよう
言語の切れ味の鋭さ
言語の限界を見きわめよう
[コラム5]呪いの言葉に効き目はあるのか
[コラム6]ブランドとフェイクの緊張関係
第4章 自己欺瞞に巣くうフェイク──承認欲求の暴走
酸っぱいブドウと甘いレモン
自己肯定によって集団の一員になる
自己欺瞞にまみれた私たち
正直者は〝うつ〟になる?
親切は評判づくりの手段
SNSで承認を求める
[コラム7]お祈りをしたくなるのはなぜか
[コラム8]ほめられるのが怖いインポスター
第5章 科学の信頼を利用したフェイク──未来予測の限界
事前事後比較のわな
科学とはパターン化による未来予測法
過剰生産される理論
確証バイアスが信念を深める
人に合わせる社会がもつ弱点
科学者は理論を主張する
[コラム9]なぜ車酔いをすると嘔吐するのか
[コラム10]信頼のおけるAIとは?
第6章 誤解から生じるフェイク──行動選択の偏り
損失回避のための選択
生き残りをかけたギャンブル
確率の誤解が生む確信
コミュニケーションがつくるフェイク
メディアがあおる感情
訂正されない誤解
[コラム11]「移民に犯罪者が多い」は幻想
[コラム12]科学記者の立場は弱い?
第7章 結束を高めるフェイク──部族意識の功罪
人心をつかむ大きな話
ウソ活用社会の登場
外に敵を作れば一体感が増す
多集団所属に伴う葛藤
集団先行の日本社会
陰謀論を超えて
[コラム13]愛情ホルモンが分断を生む?
[コラム14]集団の特性は文化由来か遺伝由来か
終章 フェイクとどのように対峙していくか
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

56
フェイクと進化には密接な関係があった。現代社会にはびこるウソ、フェイクニュースにだまされないためには、やっぱりほんとうの 科学的態度が大切なのだと感じた。それと基本的な知識をもっているかどうか。たとえば、商品の効能を使用前・使用後で比較しても、正しく検証したことにならない(では、どうしたらいいかは、本書を読んでね)。テレビから得られる情報がフェイクだったりすると、消費者としての問題だけではなく、政治、民主主義にもかかわっているわけだから、生活、はては生命までをおびやかしかねない。自分の心の特性を知ろう。2022/05/26

チャー

22
認知科学者の著者が日常生活の中で見られるフェイクについて解説した本。情報そのものの信憑性から、信じてしまう環境的な要因、人が信用してしまう仕組みなど、多くの視点で多角的に分析しており興味深い。社会や環境の構造、或いは人の心理学的な仕組みが、ある程度信用する方向にできているという指摘は新たな気づき。共感や印象に訴える情報は誤認を誘発する危険性があるという点は確かにと思う。科学的に調べ考えることでフェイクによる被害は下げられるが、落ち着いた検証が必ずしも興味を引くものではないという指摘はなるほどと感じた。2023/03/17

まゆまゆ

20
フェイクニュースになぜだまされるのか、その原因を人間の進化論に見出そうとする内容。周囲との協力によって進化してきた人間にとって、周囲に対して嘘をつく必要もなく与えられる情報に疑うことなどなかったが、現代の社会環境においてはそれが叶わず信憑性を自分で判断できなくなっている。にも関わらず、情報を信用する人間の心理が標準であることは変わっていないためにミスマッチが起きている、と。2022/08/24

リットン

17
なにをフェイクとするかは難しいし、人間は物語をつくることで発展してきた側面もありフェイクは不可分とも言える。とはいえ、人間の心理の複雑さ、集団の複雑さ、ひいては自分自身の認知の不完全さを認識せずに、技術とUIUXの洗練で垣根が下がったネットにおいて暴走が見られる。技術的な発展と世の中への浸透に対して、人間そのものの理解(というよりは、理解しきれない複雑なものだという無知の知に近い理解)が追いついていないように思われる。そういうところに人文系の学問の必要性はあるんじゃないのかなあ。2022/06/09

武井 康則

12
著者は進化心理学の立場から解説をしている。進化心理学は人間が狩猟採集時代に獲得した心理的傾向を研究しているらしい。群れになって生きてきた人間に取って信頼は重要なもので人を信用する傾向が強い。フェイクはそこに付け込んでいるというのだが、本来著者は進化心理学について書きたかったのだろう。今フェイクが何かと言及されているので本を売るために抱き合わせにしたのだろうが、そのために主幹がぶれて読みにくい。フェイクとはニュースでなく詐欺でもなくただの誤解やうわさまで含まれるし、→2024/12/16

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