内容説明
2050年には毎年1000万人が命を落とすと言われている、抗生物質が効かない細菌「スーパー耐性菌」。有効な抗菌薬はないのか。ニューヨーク・プレスビテリアン病院の勤務医である著者は未承認の治療薬「ダルバ」の実用化を目指して、治験への取り組みを始めるが一筋縄ではいかない医療現場の実情が二人を阻み……。患者たちの人生を通して、また医療の歴史を紐解きながら、感染症治療の最前線を描く迫真の医療ドキュメント。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばんだねいっぺい
23
厄介過ぎる「コロナウイルス」の控えのベンチには「スーパー耐性菌」がいて牙を剥き出しているということ。人類は種の存続のために永遠のいたちごっこに勝利し続けなければならないということ。細菌たちも必死で生きている。人間同士で戦争してる場合じゃない。2021/08/29
やす
3
耐性菌への抗菌薬開発ドキュメントとのことだったが、治験に入るまでの患者とのやり取りがほとんどで拍子抜け。個々の事例の紹介も尻切れトンボで、耐性菌の怖さを伝えたいのか、薬剤開発の大変さを伝えたいのかよくわからなかった。2021/12/10
マイアミ
3
★★★ 抗生物質耐性菌の皮膚感染症の罹患した人々に対して新たな抗菌薬の投与の治験の様子、どのようにして関係機関からの許可を取っているか、また患者たちを説得して参加させたり条件にそぐわないため除外したりなど、治験前段階も含めた流れと、そのエピソード間に挟まれる抗生物質の発見や過去の治験や製薬会社の抗菌薬に対する姿勢や世界で蔓延する耐性菌の状況などの話も加えて構成された一冊で、抗生物質にまつわる全体を理解を助けてくれる内容だった。製薬会社に抗菌薬を創薬するインセンティブがないというのは衝撃的だった。2021/08/14
ぴのこ
3
新しい抗菌薬「ダルバ」の治験の話。 一般向けのサイエンス本にありがちな抗菌薬発見の歴史で隙間を埋めるているのかな?と思いきや、確かにその通りの部分もあるけれど、治験に協力する患者の一人一人のエピソードが深い。治験協力を断ってきた患者のことを最後までくよくよ引きずっている著者に同情してしまった。危険な細菌と闘う著者でもあるが、彼のネガティブな感情がダサくて応援したくなる本。 2021/08/02
takao
0
ふむ2021/10/20