- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
「武家の古都・鎌倉」が世界遺産として認められないのはなぜか――。われわれが認識している古都鎌倉は、鎌倉時代そのままの「古都」ではなく、古都の魅力に惹かれた人々が、時代ごとに付け加えてきた由緒や魅力、いいかえれば「幻想」の集大成と言えるからである。日本人の記憶と想像によってつくられた都市鎌倉の実像と魅力を、源氏以前の時代から現在までの通史をたどることで浮かび上がらせる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
71
鎌倉殿関連はつい読んでしまう。 都市鎌倉の歴史。 武士の都、と言っても、古いものがそのまま残っているわけではないので、世界遺産指定からモレタんだよ、ということか2022/09/22
活字の旅遊人
42
鎌倉は魅力的な街。高貴な人が住む観光地っていうイメージであり、実際個人資産の残高が多い支店があったはず。さてしかし、古都として考えた場合、見所は? となると頼朝の墓すらひっそり佇んでいるだけな感が強い。今年はブームかもしれないけど。そんな鎌倉の謎にせまる歴史のお話。自分的には知りたかったことが結構書いてあって楽しめた。鎌倉市の小中学校では郷土史としてどこまで学ぶんだろう? そして金沢八景、江ノ島がセットになった江戸最寄りの観光地。なるほど、行政区分や交通網が、特に金沢八景と鎌倉とを分断したんだなあ。2022/07/05
榊原 香織
37
鎌倉行きの電車の中で予習(復習?)2023/02/21
いーたん
22
日本人にとって違和感なく古都のイメージがえる鎌倉。なのに、武家の古都・鎌倉がなぜ世界遺産になれなかったのか?なぜならば、日本人は想像のなかの鎌倉を愛し続けてきたからーという著者は、鎌倉の通史を丁寧に紐解いていく。鎌倉時代の建物を火災や戦で失い、政治機能を失い、観光都市としていきている鎌倉。その歴史的脈絡を知らずして、鎌倉の魅力は見えてこない、という。なるほど。2022/06/01
LUNE MER
20
鎌倉観光の前に是非とも読んでおきたい一冊。鎌倉と聞いてイメージする街並や史跡が実際のところいつの時代のものなのか、そもそも実際の史跡なのか観光誘致目的の盛りなのか、等々がきれいにまとめられていて、何度も鎌倉に足を運んでは旧跡をあちこち散策してきた自分も中の鎌倉もかなり補正された。また、市内各所で目にする明治・大正期の石碑は実に有難く、その佇まい自体が文化財というオーラを発しているのだが、その整備経緯まで記されており、先人への感謝と敬意の気持ちが湧き出てくる。2022/08/12