内容説明
『スワン』(日本推理作家協会賞長篇受賞作 第41回吉川英治文学賞新人賞受賞、直木賞候作作)、 『おれたちのうたを歌え』(直木賞候補作)など、一筋縄でくくれないエンタテイメント作品の書き手・呉勝浩の放つ警察小説。
神奈川県警と警視庁のはぐれ刑事たちが手を組んでせまる“巨悪の闇”とは!
”謎解きと人間ドラマが交差する骨太警察小説!”
文芸評論家・縄田一男氏が絶賛!
陣馬山で発見された白骨死体の傍らにはマトリョーシカが埋められていた。被害者は5年前、行方不明とされていた男だった。
神奈川県警刑事・彦坂は、青ざめる。その男こそ、5年前、組織ぐるみで隠蔽した事件の関係者だったのだ。
県警に激震が走るさなか、八王子で、第二の惨殺死体が発見される。現場には第一の事件との関連性を示すマトリョーシカが残されていた。
事件そのものを隠したい神奈川県警と、反目し合う警視庁の捜査班。
組織の論理がもたらす闇に、はぐれ刑事たちが誇りをかけて、合同捜査を始める。
異色の警察小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
H!deking
80
あれ、なかなか面白かったのに登録少ないですね笑 大好きなGO先生の刑事ものですね。途中までは目線を振り回されてる感じに意図を感じてしまってなかなか入り込めなかったんですが、辰巳と彦坂が合流したあたりから目が離せなくなります。確かに他の作品と比べるとストーリー的には凡庸な気もしなくはないですが、言葉のチョイスやリズム感が相変わらずツボでした~!2023/08/04
toshi
57
2018年の警察ミステリー小説。呉氏のファンなのでこの作品を手に取りました。神奈川と東京で相次いで他殺体が発見され、死体の傍らにはマトリョーシカが置いてありました。果たしてどんな意味があるのか?物語は警察の隠蔽、冤罪、所轄の対立をテーマに進んで行き、怒涛の展開を見せます。傑作「ライオン・ブルー」でも警察の問題点が浮き彫りにされていましたが、本作ではよりダークに描かれています。呉氏は将来、直木賞を獲るのではないかと感じました。ラストは不穏な雰囲気のまま、終わります。是非実写化して欲しいと思いました。2024/06/02
タツ フカガワ
52
神奈川県警に「5年前に陣馬山に人を埋めた。埋まっているのは香取富士夫」という匿名の通報が入る。香取は5年前、4人の死者を出した薬害事件で世間の注目を集めた一人。当時香取の失踪や身辺が危ういという相談を神奈川県警が黙殺したこともあり、これが今回の事件で発覚すると……。神奈川県警と警視庁、所轄の八王子署が互いに牽制しあいながらの合同捜査。実直な彦坂、怖いもの知らず辰巳、お坊ちゃん六條ら刑事の造形がいい。やがて彼らはこの事件の奥にさらなる闇を見ることに。満足の警察小説でした。2024/10/21
じゅむろりん
18
国家権力である警察組織が過ちを認めないのは、警察機関の信用問題もあるが一番はメンツのため。ストーカー相談をあしらったことで引き起こした殺人事件が5年後の通報で世間の知る事となった時、要らぬ言葉を発した神奈川県警の彦坂は十字架を背負ったまま捜査する。実行犯のアリバイ工作も絶妙だが、それにも増して深い真相の闇と人の心。マトリョーシカはあくまでシンボルであり、事件の鍵ではなかった。何故刑事になった?ボンボン刑事の六條がいい味出して捜査を進める様が良い。スロースタートでじわじわ面白くなる展開が妙。楽しめました。2024/06/20
terukravitz
8
図書館本★☆☆☆☆2024/04/29