内容説明
詩人であり、絵本や随筆の傑作も多い長田弘氏。1999年6月に刊行され、2013年5月に新装版が刊行されたエッセー集『私の好きな孤独』、待望の文庫化!!
「孤独」はいまは、むしろのぞましくないもののようにとらえられやすい。けれども、本来はもっとずっと生き生きと積極的な意味だった。
「たった一軒のカフェに親しむだけで、知らなかった街が、ふいにどれほど、
じぶんに親しい街に変わってゆくことか。朝の清潔な孤独を味わえる街の
店に座っていると、そのことが浸みるようにわかってくる」
( 本書収録「朝のカフェ」より)
音楽、珈琲、旅、酒、読書──。
孤独を慈しみ味わうために必要な「小道具」たちをモチーフに、いまなお多くの人に愛されつづける「言葉の魔術師」が詩的魅惑を豊かにたたえながら紡ぎ出し指南する、「孤独」との明るく前向きな付き合い方。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユズル
32
不思議な本だった。これはポエムなのか、散文なのか、エッセイなのか、物語なのか… どれも合っていて、どれとも違う。でも詩人というだけあって、ただただ、美しい日本語を書かれる人なのは分かった。2022/11/03
taraimo
29
冒頭の『言葉の樹』に惹きつけられました。というのも、我が家の小さな庭の木が屋根を上回ることや枝が隣家にはみ出すことを気にしながらも、今夏の酷暑を木陰があって凌げたからかも。風にそよぐ葉同士の会話を聞いていると、枝を落とすのは晩秋かなと。大勢の人に助けられることと見失うことの狭間で、独りだから得られる気づきに憩います。私は異国の文化に乏しいけれど、旅のエピソードで、ウイスキー、ジャズ、歌手への想いなど、著者のこだわりやお洒落が覗きます。時計に囚われず過ごす時間、コーヒーを味わい読書できる空間は幸せだな。2023/08/27
アナクマ
29
穏やかでないタイトル。詩人の書く本には物語も意図もなく、共感を求めるでもなく、ただ「私はこう思う」があるだけだと断定するのは浅はかすぎだろうか。その”独り言ぶり“に意味がある、と思っています。◉漂泊者ホーボーの語源が日本語の“方々”だというのは怪しいけどそれはそれ。「そこらの草たちこそ、みごとなホーボーたちだ。…どこかへゆく。どこでもいい。土さえあれば」◉ふと漏れ出る自分の/他者の独り言を書き留める習慣を身につけたいと思う。よく噛んでご飯を食べるみたいに。2022/06/04
アナクマ
25
「近所に住む大男の木こりの女房で、冬を越すのに、うちの人に薪をとりにいってもらわなくてはいけないのだが、穿かせてやるズボンがないのだ、と女は言った。病気で寝こんでいるという木こりの身体の寸法がわからないので、デイヴィスは古いズボンをもってくるよう、女に言った」。そして、世界で最初のジーンズがこしらえられたという。2025/04/11
NakaTaka
12
詩人長田弘さんのエッセイ。海外の旅の思い出、児童書を含む本の紹介や日常のあれこれ。初版は1999年、昭和の思い出でもある。テーマは孤独?でも寂しさなど微塵もない。孤独は深く考えることができる。孤独を楽しもう。2023/12/24
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