内容説明
「今回ここに書き起こしたものには全て奇妙な符合が見られる。読者の皆さんとこの感覚を共有したい」――大学病院勤めの「私」の趣味は、怪談の収集だ。知人のメール、民俗学者の手記、インタビューの文字起こし。それらが徐々に一つの線でつながっていった先に、私は何を見たか!? 「怖すぎて眠れない」と悲鳴が起きたドキュメント・ホラー小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
77
文庫にて再読。この、じわじわと絡め取られていく厭な感覚がたまらない。ネット、噂話、伝聞、様々な具象がひとつ処に集まっていく(集められていく)先は、真っ暗な闇。気がつけば雁字搦めに囚われて、一方向にしか進めない。正体すら掴めない深淵に待つもの。意味不明な言葉や呪い、救いの無い過去の惨劇が浮かび上がるばかり。怪異とは本来こういうもの。意味に辿り着いたと思えば、何も掴んではいないまま、待ち受けるナニカに身を差し出すしかない流れ。そして冥い奔流はいや増すばかり。2022/12/09
sin
70
怪を集め、解に至り、怪に取り込まれてゆく…主人公の医師は怪談収集家である。ある日もたらされた“怪談の収集に依って遭遇した体験談”に接したことで更なる怪談話に触れ、やがて自身の現実をも侵食されていく…個々に読めばそれだけの怪談話が、いくつか纏まることに依ってその輪郭を淡くし、共通する出来事を浮かび上がらせてゆく…導かれる。結局、医師は怪談に魅入られただけでなく、見つけられてしまったのだ。2022/07/09
こら
64
医師の「私」の前に集う様々な怪異譚。別々の筈のそれ等には奇妙な符号があった。徐々にその謎に魅入られ、調査にのめり込む「私」自身にも■■■の障りが顕れ、やがて……まず、メールや手記で提示される各々の怪異譚が、単独でもずしりと怖い。そして、それ等が土着・異教信仰や民俗学的考察から一つに収斂していく謎解きの要素も自分の好み。但し、本当の恐怖は、ある程度謎が明されても、全てが解明され一つの終焉を迎えない事。そう、連鎖する恐怖。この作品は、是非皆さんにも読んでいただきたい。いや、絶対読んでください。ずずずず…2022/06/23
Kurara
53
★2.5 ホラー?怪談?サスペンス??よくわからない内容だったな。2023/06/02
とろこ
51
【再読】粘着質系ホラー小説。民俗学的アプローチや実話系怪談との融合が、実際にこのような怪異に見舞われそうな気分にさせる。近づきすぎてはいけない怪異、知り過ぎてはいけない怪異は本当に存在するのかもしれない。初読の時同様楽しめたが、あの「ず」の使用方法には、怖くなるよりも笑ってしまった。2023/01/13