内容説明
「その他」の側から世界を見る
翻訳大国日本。多くの外国文学が翻訳され、読まれている。その中には日本では学習者が少なく、「その他」とくくられる言語によるものも含まれる。
しかし、「その他」だといって存在感が小さいわけではない。インディペンデントな文学賞として知られる「日本翻訳大賞」の第1回大賞の2作品は、韓国語とチェコ語による作品だった。いずれも「その他」に分類される作品が、読者からも、翻訳者からも多くの評価を得たこと自体が、このカテゴリーの奥深さのあらわれではないだろうか。
では、「その他」を生み出しているのはどのような翻訳者たちなのか?
日本では馴染みの薄い言語による文学を、熱意をもって紹介してきた九人の翻訳者が、その言語との出会いや学習方法、翻訳の工夫、そして文学観を語るインタビュー集。
序文・斎藤真理子
鴨志田聡子(ヘブライ語)
星泉(チベット語)
丹羽京子(ベンガル語)
吉田栄人(マヤ語)
青木順子(ノルウェー語)
金子奈美(バスク語)
福冨渉(タイ語)
木下眞穂(ポルトガル語)
阿部賢一(チェコ語)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
109
「その他の側から世界を見る」。日本ではマイナーで「その他」に分類されてしまう言語の文学と翻訳者を取り上げた本。馴染みのない言語や文化に触れられ、ブックガイドでもあり、体験記、仕事観など色々と詰まっていて面白く読めた。刺激的で視界を広げられた気がする。バスクやチベットは既読小説があり、翻訳の裏側が気になっていた。ポルトガルは意外にもマイナーでポルポルとブラポルは知らなかった。どなたも学習環境の厳しい中で道を切り拓いたその熱意に感服。運も行動の賜物。何よりただ面白い本を共有したいという気持ちが良いなと思った。2022/12/30
nobi
96
“…の翻訳”ではなく“…の翻訳者”が書名で翻訳者その人に焦点を当てた珍しい企画の本。それも“その他の外国文学”が対象。誰もが超個性的というか少しづつ変。その言語との出会いには偶然もある、でもその偶然を活かす本人がいる。周りにはそれを学ぶ教育課程も辞書も文法書もない、でも彼らの好奇心はまあいいか、では収まらない。当時はSNSもないから、いきなり現地に行ってしまう。もちろん独学もあり人とのつながりの中でも言語を学びその文化を体感する。どの翻訳者にも、わくわくするような物語が、また翻訳から見えてくる世界がある。2025/02/21
佐島楓
78
一部で話題になっており、気になったので手に取った。すごく刺激を受けたし面白かった! 参照できる資料も少ないマイナーな言語を習得し、しかも翻訳できるようになるまでの過程が皆さんそれぞれ異なっていて、苦労なさっているのにとても楽しそうだった。語学を勉強している方なら間違いなくモチベーションが上がるし、新たな世界への扉を開いてくれる書物だと思う。ブックガイドにある翻訳書を取り寄せる算段を立てなくちゃ。わたしも亀の歩みだけど英語とフランス語頑張ろう。2022/03/24
たま
61
最近とみにマイナー言語からの翻訳小説がふえた気がする。言語はスポーツと同じで専攻する人が多いほど、〈できる〉人が多くなる。マイナー言語はできる人が限られるし、できる人が文学に興味があると限らないし、興味があっても日本語のセンスがあるとは限らない。この本を読むとこういう言語の翻訳は、全く偶然にその言語と出会い、それに打ち込んだごく少数の人の、採算度外視の情熱に支えられていると分かる。日本社会の小さなゆとりが翻訳文学のささやかな流れを支えているわけで、これが日本社会の良さだとも思う。2022/09/30
すーぱーじゅげむ
58
マイナー言語を始めたきっかけがおのおの違っていて面白かったです。翻訳で取捨選択が必要なとき「人の心情を大切にする」点がみなさん共通しておられました。言語や歴史が違う人々と私をつなぐ小さな小さな道がそれなんだと感じました。開拓者そして伝え手である9人がとても輝いていました。2022/11/12




