内容説明
地下鉄でレーズンパンを食べてゐる茶髪の母だついてきなさい
2013年第56回新人賞受賞作「目覚めればあしたは」から
「短歌研究」連載まで8年間の作品をまとめた待望の第一歌集。
子育て、仕事、生活…現代女性のひりつくような日々を、
冷静な視線をもって、みずみずしい感性でうたう。
たつぷりと遊びつくしたあとに来る小筆のやうなさびしさがある
みどりごはくたくたに疲れ生まれくる初夏さわがしい分娩室に
「日本死ね」までみなまで言はねば伝はらぬくやしさにこのけふの冬晴れ
いつか詩になると信じてやり過ごす日々にシンクの泡は壊れて
うすあをき雪の降りつむいろは坂 〈な〉のカーブより下り始めつ
装幀=花山周子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
太田青磁
10
呼ばれるがままあるがまま流れゆく親と子供と問診票は・安眠アプリから鳴りだした波音の夜のみぎはへまぎれゆくまで・地上より明るい地下の入口を見下ろせりだれの手も握らずに・二時に外し六時につけるコンタクト 呼ばれしやうになみだ出でくる・のりこえよう としたがうつかり蹴りとばすブロックの家に天井がない・木でなくなる際に自分が木だつたと気づくのか葉をさらはれながら・鳩時計が息継ぎながら鳴きをはる鳩にとつてはながい時間を・四大文明いづれも河に生れしこと 冷水機のペダルをゆるく踏む2021/10/05
アキ
1
子どもの歌、そしてその子どもを通して自らの生活を振り返る歌が多かった。口語、文語の歌が交じり合いつつ、特に口語の歌の多くは想いを吐露する際に用いられていると感じた。「枝先がまた膨らんで待つて待つてそんないつせいに咲かなくても」「帰りたくないと泣かれて何のためにここへ来たのか保育所は夜」「子の頬へ口づけるときぼんやりとよだれの跡を避けてゐること」「だれからも疎まれながら深々と孤独でゐたい 月曜のやうに」「会釈では済まないせゐで微笑んでしまつた樹下に風受けながら」2022/05/04
すずちう
0
短歌という詩型がもつ極私性というか、セルフセラピー性みたいなことを思った。研究に連載された一連がやはり白眉で、問題作でもあると思う。2021/10/23
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