内容説明
生涯五万五千食の美味を選りすぐった名著!
『パイプのけむり』シリーズを始め、名随筆家と知られる作曲家團伊玖磨氏。中でも食随筆のファンは時代を超えて増えるばかりだが、数多い著作の中でも、幻の名著といわれる今作品が没後二〇年を機に装いも新たに登場。五万五千回の食事の記憶から、印象深い一皿一皿をユーモアと機知に富んだ筆致で描いたひと一冊。「海亀」「香港の蟹」「あざらし」「鰻」「虎骨木瓜酒」ほか今では食べられない幻の一皿から日常の何気ない料理まで滋味溢れる筆致で描いた、これぞ食随筆!の一冊。解説はエッセイストの平松洋子さん。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
67
童謡「ぞうさん」などの作詞で知られる音楽家・團伊玖磨の食にまつわるエッセイ集。こういった戦後に活躍した世代の方々がお書きになるエッセイは、余裕があるというか懐が深いというか、ある種の解放感に満ちていて好きだ。ぼんやりページをめくっているだけで頭が緩んでゆく。貪欲で野蛮な食に対するこだわり、だがなぜか心地よい。2022/05/15
niz001
4
積読から回収。団さんは割と好き勝手書いてるんだけど不思議と嫌味に感じない。パイプのけむりスピンオフ版とは上手いこと言うw。2022/08/20
you
2
40年ほど昔の「パイプのけむり」を思い出し手に取った。 著者の世代や時代もあり仕方ない面もあるとは思うが、上から目線が気になる。欧州以外の食文化に対して「貧しい」とか「愚か」とか、家族に対してまるで家来のように指示していたり。「自分は特別」という特権階級意識が滲み出ている。こういう家系の人達は今でもこういう感覚なんだろううか。2022/06/20
しゅー
2
★★★『パイプのけむり』が好きなので迷わず買う。外出時の空き時間に読むのにぴったり。文章がスルスル入ってくる。食べ物の名前を列挙するあたりで、ふと目を離して見開きのページ全体を絵として観てみた。句読点のうちかたや、名詞の列挙が遠目に気持ちよい形で並んでいる。さすが作曲家、本能で感覚的な愉しさを追求しているなんて考えるのは贔屓の引き倒しかな。好き放題書いているのが、遠慮のない親戚のおじさんの話を聞いているようだ。感覚が昭和だなと言う部分も多いのだけど、人目を気にしない書きぶりが最近の本にはない楽しさだった。2022/05/21
bunca
1
エッセイとしては面白いけれど、味の表現というかおいしそうな描写は少なめ。 でもあとがきを読んで、あえてそういう書き方をしているのかと納得いった。2024/05/20