内容説明
「公益通報者保護法」が一部改正され2022年6月に施行、事業者には罰則規定も設けられる。難解な条文の意味をひもとき、これまで日本の組織で起こってきた事例をふまえ、関係者の知るべき法改正の実質、義務・制裁の必須ポイントをわかりやすく解説する
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GOTI
5
☆☆☆★組織を離れて今更ですが、知的好奇心を十分に満たすことができました。近畿財務局文書改ざ郵政不適正営業、住銀イトマン事件、オリンパス粉飾決算、社長解任、レオパレス施工不備等々、官公庁や名だたる企業の実名を挙げてのケーススタディ。ノンフィクションの重みから小説にはない恐怖、もどかしさ、爽快感を味わうことができました。残念ながら公益通報者保護法はまだまだ不完全であり、司法判断も揺れています。2022/08/06
トビケ
3
内部通報制度の歴史を俯瞰し、特徴ある事例を深く解説し、また参考事例を広く紹介し、改正公益通報者保護法について検討段階の議論含めて説明していて、非常に良くできた本。欧米との制度比較も参考になる。この文脈においてはマスメディアの存在意義も首肯できる。ただまぁ、深く掘り下げられた事例における会社側の人たちの言い分に想いを馳せた時に、やはり内部通報制度は最後の切り札なんであって、複数の人が傷ついてしまうそもそもの状況の発生をなんで止められないのか…人間の根源的な部分からきていて回避不能なのかと暗い気持ちになった。2022/11/25
お抹茶
2
裏切りと白い目で見られる内部通報が,日本でも少しずつ肯定的に見られ,法的にも保護されてきた過程を記す。以前は,内部情報を外部に漏らすことの妥当性判断は裁判官の価値観に負うことが多かった。告発者の社内処分や氏名の公表などの不利益は禁じられ,通報内容が真実または真実と信じるに足りる相当な理由があり,不正な利益を得たり他人に損害を加えたりする目的ではなく,相当な通報手段であれば,通報行為が組織秩序を乱すものでも違法性は阻却され,懲戒処分は無効とされ得る。2022/07/07
Ohe Hiroyuki
2
新聞記者として長く勤めながら、公益通報について取材を続けた成果が記された一冊である。▼オリンパスなどの著名事件を内部通報という観点から振り返るのは大変に興味深い。著者自身が取材した内容も記されており、その内容は迫真に迫るものが迫るものがある。▼公益通報者保護法を解釈し、理解するにも、本書のような内容は大いに有益である。事例が豊富に紹介されており、この種の事案に取り組みにあたっての手引書にもなるであろう。2022/11/13
キミ兄
2
22年6月からの改正公益通報者保護法の施行に伴い何が実務として変わるのかを主眼に整理した本だが、過去の通報の事例が酷い。特にオリンパスは未だに通報事例がやまない。著者が新聞記者なのでマスコミへの通報の肩をちょっと持ちすぎか。そして改正法に対応した企業内での通報対応従事者体制の整備。これは知らなかった。自分は通報を受け得る立場だが大丈夫なんだろうか。ここ数年で本当に役立ったと思った本。☆☆☆☆☆。2022/06/06
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