内容説明
豪華絢爛な宮殿の舞台裏
フランス貴族社会の象徴、ヴェルサイユ宮殿。18世紀、ここには王を頂点に1000人以上がひしめきあって暮らしていた。豪華絢爛な外観、贅沢な食事、着飾った女性たち、舞踏会や音楽会……。華やかな宮廷生活が思い浮かぶが、本書のテーマはこうした表の顔ではなく、より人間くさい日々の営みのほうにある。著者は残された書簡や官僚機構の報告書などを精力的に読み込み、宮殿での暮らしの実態をひもといてゆく。
宮殿の内部は226の居室からなる巨大迷路の様相を呈していた。広さ・設備とも許容量を超える人数が暮らすなかで、個人のプライバシーは守られていたのか。1000人分の食事はどのように準備され、消費されていったのか。安全な飲料水は確保できていたのか。入浴や排泄はどのようにしていたのか。広大な建物をどのように掃除していたのか。大量の洗濯物はどこで洗い、どこに干していたのか。華やかなイメージとは裏腹の驚くべき事実が次々と明かされる。
当時の史料からは、貴族たちの苦労がしのばれると同時に、彼らがたくましく生きていた様子もうかがえる。本書を読めば、これまでとは違った宮殿の姿が立ちあがってくるはずだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
グラコロ
17
あの壮麗なヴェルサイユ宮殿が3K(危険+汚い+臭い)だったとは!機能よりも外観重視だったため、トイレが少なく便槽は溢れて台所に流れそうでゾワゾワ、台所が少なく勝手に作って火事になりそうでヒヤヒヤ、煙突が少なく勝手に配管繋げて煤が溜まり放題でゴホゴホ、せっかくの池や噴水も水質汚染でくっさ〜、おまけにネズミがウジャウジャ。まことおぞましき宮殿。2022/06/01
ろべると
5
ブルボン王朝の栄華を極めたヴェルサイユ宮殿の裏側に焦点を当てる。類書もあるが、著者は米国の研究者で、宮殿に暮らす王族や貴族たちを支える裏方の労苦を伝える。当時のパリ市内でも衛生環境は最悪だったが、ヴェルサイユも例外ではない。寒さや悪臭などに対する改善を求める声が後を絶たないのだ。しかし宮殿の外観維持を重視する国王のもと、聞きいられることは多くない。王侯貴族と民衆の間に立つ使用人の悲哀。本書は豊富な記録をもとにテーマごとに紹介するのだが、ややまとまりがなく、当時の様相を活写するまでには至っていないのが残念。2024/11/30
かしこ
3
酷い無秩序っぷりに驚いた! ヴェルサイユに部屋をもらうことは貴族の名誉だけれど、キッチンがないからご飯が食べられないから、貴族がキッチンを増築しなくちゃいけない?どういうこと? 公衆衛生は同時期に読んでる中国の監獄の本と同じレベルなんじゃないかな…2024/06/22
ゆの字
3
とっても興味深くて面白かったんだけど、当時の文化や風俗についてまったくの素人なので、文字だけだとなかなかイメージが浮かばずに困った。居室を区切るってどういうこと?竈ってどんなの?暖炉って自分の知ってる暖炉とはちょっと違う?などなど。図版がたくさんあれば、もっと楽しく読めたと思う。2022/07/02
Lilas
1
飛ばし読み。テーマはとっても興味深いけれど、◯◯夫人の申し出、という婉曲的な表現が延々と続き飽きる。また当時のフランス社会や文化への理解が彼の地の人たちほどではないので、しっくりこない。残念。2022/07/11
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