ベイルート961時間(とそれに伴う321皿の料理)

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ベイルート961時間(とそれに伴う321皿の料理)

  • 著者名:関口涼子【著】
  • 価格 ¥1,672(本体¥1,520)
  • 講談社(2022/04発売)
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  • ISBN:9784065260777

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内容説明

魂のための味覚、そして魂のための栄養素。それが人間にとっての「食」なのだと実感した。――ヤマザキマリ

ねたましい!これはぼくがするはずの旅であり、食べるはずの料理だ。ベイルートにつながるバグダッドの味、イスファハンの味。会ったことはないが、この作者は(彼女が認めてくれるなら)ぼくの分身である。――池澤夏樹

カタストロフを生き抜く食の力と、心揺さぶる街の記憶。五感のアーカイブとしての料理を描く珠玉のルポルタージュ・エッセイ。 

「料理の話をしてください」。戦争の傷跡が色濃く残る街で、翻訳家・作家の著者は人々が語る食べ物の話を聞く。多彩な声と仕草で語られる物語は、万華鏡のように街の肖像を描き出す。異なる民族、宗教、文化をもつ人々が一堂に会する理想の食卓は可能なのか。ベイルート、パリ、東京を往還しながら紡ぐ、多様性に満ちた「食」の思考。
フランスで刊行され高く評価された作品を著者自ら邦訳した待望の書。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

99
食文化はその国の生活、過去、伝統にかかわり、常に動いている。レバノンで過ごした2018年4月からの1か月半321皿のレバノン料理を食した。この国で会う人すべてが料理に興味を持っていた。そしてベイルートはノスタルジーに囚われている街でもあった。「今を生きることは、できる限りの速度で力を一気に使い果たすことの同義語でもあるんだ。忍耐とは、物事が続いていく幻想を抱ける国の美徳でしかない。」内戦とシリアやイスラエルとの戦争、2020年港爆発事故があった市民の声である。日本、フランス、レバノンの視座から語られる食。2022/08/06

pohcho

52
フランスに住み仏語の本を多く書かれている著者が、本を書くためベイルートに1ヵ月半滞在。その後レバノンでは大規模な反政府運動が起こり、ベイルート港の爆発事故があったとのこと。短く区切られたテーマ、詩的な文章で次々と思うままに書かれているような印象の本だった。打ち解けるきっかけとして料理の話はとても有効で、そこから思いがけない話へと発展するというのはよくわかる気がする。日本の話もあり、朝吹真理子さんの言葉には驚いたが、「福祉民族」という言葉には納得。考えさせられるところの多い本だった。2023/02/07

たま

48
新聞の書評(「世界の見え方が変わる批評的な1冊」)に誘われ、レバノン料理に興味があって読んだ。著者が2018年にベイルート作家協会の招きで一月半滞在した記録。レバノンの複雑な社会を書くのは難しく食べ物を切り口にしたのだろうが、料理専門家でない人間が一月半で書けることは限らる。食べ物、町の印象、知人(著者も言う通りキリスト教系フランス語話者)の言葉などを雑多に記した数行のメモが約300編。詩的な味わいも正直感じられない。中近東を全く知らない人には新鮮かも知れないが、もう少し掘り下げてほしかったと思う。2022/07/16

ねむ

21
料理を通してレバノン社会の記憶を聞き取る著者の思考の断片。食べることは日常的すぎて、今の日本ではいかに美味しくとか、いかに安くとか、そういう方向にばかり注目がいくけれど、確かにその社会の姿が否応なく反映されるもの。日本の社会についても考えさせられた。レバノンにはシリア料理やフィリピン料理の店はないという。食事によって力を分けてもらう、だからドメスティックワーカーや弱い国の料理は食べない、というレバノン人の考え方が、いかにも紛争の歴史の長い地域の視点という感じがした。2022/10/02

かもめ通信

16
細かい章立てで連想風に連なっていく文章を味わいながら、料理も言葉も人と人をつなぎ、人を介して広がっていくものなのだと改めて思う。2022/09/01

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