吸血鬼ラスヴァン 英米古典吸血鬼小説傑作集

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吸血鬼ラスヴァン 英米古典吸血鬼小説傑作集

  • ISBN:9784488011154

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内容説明

ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』に先駆けて発表された英米の吸血鬼(ヴァンパイア)小説に焦点を当てた画期的アンソロジーが満を持して登場。バイロン、ポリドリらによる名作の新訳、伝説の大著『吸血鬼ヴァーニー――あるいは血の晩餐』抄訳ほか、ブラックユーモアの中に鋭い批評性を潜ませる異端の吸血鬼小説「黒い吸血鬼――サント・ドミンゴの伝説」、芸術家を誘うイタリアの謎めいた邸宅の秘密を描く妖女譚の傑作「カンパーニャの怪」、血液ではなく精神を搾取するサイキック・ヴァンパイアものの先駆となる幻の中篇「魔王の館」など、本邦初紹介の作品を中心に10篇を収録。怪奇小説を愛好し、多彩な翻訳を手がけてきた訳者らによる日本オリジナル編集で贈る。/【目次】序文――バイロン男爵の光の下に 夏来健次/吸血鬼ダーヴェル――断章(一八一九) ジョージ・ゴードン・バイロン/吸血鬼ラスヴァン――奇譚(一八一九) ジョン・ウィリアム・ポリドリ/黒い吸血鬼――サント・ドミンゴの伝説(一八一九) ユライア・デリック・ダーシー/吸血鬼ヴァーニー――あるいは血の晩餐(抄訳)(一八四七) ジェイムズ・マルコム・ライマー トマス・プレスケット・プレスト/ガードナル最後の領主(一八六七) ウィリアム・ギルバート/カバネル夫人の末路(一八七三) イライザ・リン・リントン/食人樹(一八八一) フィル・ロビンソン/カンパーニャの怪(一八八六) アン・クロフォード/善良なるデュケイン老嬢(一八九六) メアリ・エリザベス・ブラッドン/魔王の館(一九〇七) ジョージ・シルヴェスター・ヴィエレック/解説――ドラキュラ伯爵の影の下に 平戸懐古

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

73
主に十九世紀、ドラキュラ以前に発表された吸血鬼小説をまとめたアンソロジー。基本文献的なバイロンの「断章」とポリドリの「吸血鬼ラスヴァン」は当然収められているが、それ以外の諸編は未読で単なる吸血鬼小説ではなく一風変わったものが収録されているのは嬉しい限り。名前ばかりよく聞く「吸血鬼ヴァーニー」は抄訳すぎてよくわからないが、ゴシック風の「ガードナル最後の領主」や世界がまだ脅威に満ちていた時代を思わせる「食人樹」吸うのは血ばかりではない「魔王の館」等一癖あるのが勢ぞろいである。重厚で冗長な数々、堪能できました。2022/08/02

藤月はな(灯れ松明の火)

64
バイロンの吸血鬼の詩をポリドリが物語の面白さを詰め込んで作り上げた『吸血鬼ラスヴァン』。どうしよう、荒木飛呂彦氏の絵で脳内展開されるのだが!最も文才で結ばれたバイロンとポリドリは物凄い確執を展開する事になります・・・。ペニードレッドフル小説の代表作の一つである「吸血鬼ヴァーニー」は残念ながら断片だけの翻訳である。それだけでも読めるが、翻訳されなった章が一体、どうなっているのかが気になる。そして会話だけの文章が続く、テンプレを如何に駆使するかが人気の鍵となるネット小説の原型がこの時代に確立されていたのか!2022/08/04

tosca

32
ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」以前の吸血鬼小説に焦点を当てたアンソロジー、伝説のゴシック小説「吸血鬼ヴァーニー」の抄訳ほか本邦初訳作多数収録、とあったので楽しみな反面、古典過ぎる怪奇小説はストーリーの面白さはあまり期待出来ないかなと侮っていた。が、これが面白かった。表題作は未読と思っていたら平井呈一訳「吸血鬼」というタイトルで以前に読んだやつだった。「吸血鬼ヴァーニー」は全232章からの抄訳という事もあり、流石にちょっと苦笑した部分もあったが、その他はどの作品も真面目に面白かった。2022/07/14

kasim

29
『ドラキュラ』以前の吸血鬼物語集。現代の何でもありとはまた違う、センスが光る一冊。ポリドリを読むのはこの一年で三回目。ハイチの黒人吸血鬼や暴君の因果応報「ガードナル最後の君主」もいいけれど、唯一『ドラキュラ』後の作品でヴィエレックの芸術家小説「魔王の館」に断然奇妙な迫力がある。相手の血ではなく才能を奪う「サイキック・ヴァンパイア」ものの先駆けとのことで、シェイクスピアもナポレオンも他人の才能を吸い取った吸血鬼であり、凡人には怪物でも吸血鬼本人は神に選ばれたと自負しているという話。2024/02/27

めがねまる

14
ドラキュラ以前の吸血鬼小説を主に集めたもので、初訳のものが多い。ドラキュラ以前の吸血鬼小説としてお馴染みのラスヴァン(他訳だとルスヴンが多い)とヴァーニーは置いといて、ラスヴァンと同年1819年に書かれた「黒い吸血鬼」はハイチ独立革命に端を発する物語で、差別が当たり前の時代にこんな風刺小説があることに驚いた。物語として面白かったのは「善良なるデュケイン老嬢」と「魔王の館」デュケイン老嬢は読後感が意外と爽やかでミステリーのような趣もあった。解説も充実していて、買って満足した。2023/03/21

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