内容説明
「ミシシッピへ行きなさい。あの白いマントヒヒを連れて」突然の母の言葉に、私立探偵のリディアは言葉を失った。パートナーのビルとわたしが、なぜアメリカ南部に?……それは殺人の容疑をかけられた青年の無実を証明してほしいという、親戚からの依頼だった。ビルを伴い、自分たち家族が住んだかもしれない町を訪れたリディアは、そこで渦中の容疑者が脱走したことを知る。知られざる中国系アメリカ人の歴史をひもときつつ、事件の解決に奔走するふたり。現代ハードボイルドの最高峰〈リディア・チン&ビル・スミス〉シリーズ、最新作の登場!/解説=大矢博子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白玉あずき
37
8年か、長かった。久方ぶりのリディア巻、内心ずーっとビル主役の巻のほうが面白いのに残念、と思いながらの読了。時間がかかって乗りが今一つだ。中国系の人達の身びいき「血の掟」は脈々と続いていますな。合衆国南部の閉鎖性、露骨な差別、北部に対するねじれた敵意とか、本当に本当に嫌な空気ですが、たまにこのような内容を読まないと合衆国の分断と多様性を忘れてしまいますね。リディアとビルの唐突な関係変化にびっくり。待ちに待っていたのに過程が楽しめなかった・・・・もう少し読者サービスしてくれよぅ。 早くビルの次巻を出して!2022/07/20
tom
26
ローザンさん。出版当時から追いかけていて、読メを始めて再読。2014年に短編を読んだ後、以来とんとご無沙汰してた。そしたら、新作が出たというじゃないですか。大喜びして図書館にお願いして、ようやく手元に届きました。昔懐かしのリディアとビルがそのままこの本に現れてる(気のせいかもしれない。以前の二人は、もっと恰好良かったような)。ということで、再開を楽しみながら読了。ちなみに、書名は、ミシシッピ(南)で育ったリディアの親戚筋の「子供たち」という意味。アメリカ南部の人種差別と生き抜くハードさが根っこに流れてる。2022/11/28
Mc6ρ助
24
まさか続きが読めるとは思っていなかったリディア・チン&ビル・スミス・シリーズ、911、トランプ、#MeToo、BlackLivesMatterをおくびにも出さず、分断のアメリカを良質なミステリで描写してのけるS・J・ノーザンさん、最高です。今回長年の読者には思わぬプレゼントもありましたが、本シリーズ、まだまだ続くとのことで爺さまもまだまだへたばるわけにはいかないとつくづく思うのでした。2022/05/21
nagatori(ちゅり)。
23
久しぶりの、久しぶりのリディアとビル!やっと手に取れました!お帰りなさいー!第一作の『チャイナタウン』が世に出たのが1994年(邦訳は1997年)、なんともう30年も経ってしまったのか…時を経て、少しずつ少しずつ関係を育んできたじれったい2人(笑)に、あのお母さんが背中を押したように見えたのは私だけでしょうか。ルネッタを訪問した時のエピソードが好き。そして気になるのは、ナマズのタコス。美味しい…らしい、けど想像がつかない。ナマズ!2024/05/26
かもめ通信
21
8年ぶりの新作!?読者はすっかり歳をとったが、主役の二人は相変わらずで、変わったのは小道具として使われるテクノロジーだけなのか!と思ったら…あれ?そうでもないのかも!?このシリーズはやっぱり大好き。この先も順調に翻訳刊行されますように。2022/07/25