郊外のフェアリーテール キャサリン・マンスフィールド短篇集

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郊外のフェアリーテール キャサリン・マンスフィールド短篇集

  • ISBN:9784750517353

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内容説明

薔薇、お茶、リボン、焼き菓子……。
完璧な幸福の中にひそむ死、誘拐、心変わりや別離。
――外から来た少女は、世界の裂け目を覗き込む。



ニュージーランドに生まれたマンスフィールドは、ヨーロッパに暮らす人々の優雅な幸福を活写する。同時に日常の翳に見え隠れする、死、階級差、裏切り、別離なども、彼女の眼は射抜いていく。
小さなお菓子のような短篇には、毒や皮肉も混ざっていて、人間社会の普遍を描く。

ヴァージニア・ウルフのよきライバルで、短篇の革新者。
マンスフィールドの比類なきコレクション。


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【目次】

■風が吹く……The Wind Blows
■ガーデンパーティー……The Garden Party
■少女……The Young Girl
■幸福……Bliss
■見知らぬ人……The Stranger
■パール・ボタンはどんなふうにさらわれたか……How Pearl Button Was Kidnapped
■ミス・ブリル……Miss Brill
■ある上流婦人のメイド……The Lady’s Maid
■父親と娘たち……Father and the Girls
■郊外のフェアリーテール……A Suburban Fairy Tale
■一杯のお茶……A Cup of Tea
■人形の家……The Doll’s House
■風味のピクルス……A Dill Pickle
■船の旅……The Voyage
■入江にて……At the Bay

■解説 キャサリン・マンスフィールドという事象――西崎憲

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

帽子を編みます

64
どうしてこの作家を知らなかったのでしょう、いや「ガーデンパーティー」はアンソロジーで何回か読んで上手いと思っていました。でもこのキラキラした水面の照り返しのような文章、繊細な感情。本当に好きになりました。「少女」、この少女は傲岸不遜で愛される要素なんて何もないのですが、でも自分も不機嫌なティーンエイジャーだったなら、彼女の鎧が、その中にある傷ついた心がわかるはずです。世界の中心に自分があると信じ、でも世界にはこれっぽっちも相手にされていないと不安になったあの頃。夭逝した作家が残した作品に出会えた幸せ。2022/09/06

uniemo

17
何作かは以前読んだ短編集に入っていたと思いますが、やはり好きな作家さんだと思いました。最初の入り方からすぐに小説の世界になじめるような出だしが好きです。「船の旅」が一番良かったです。2022/05/26

スイ

16
ここに収められている作品のようなものが一編でも書けたら人生を使い果たしても悔いはないんじゃないか、と思うくらい完璧な小説たちだった。 胸の奥にズシンと来ている。 言葉の美しさも見事。 「ガーデンパーティ」が一番心に残ったと書こうと思ったのだけど、それを言うならあっちも、いやこっちも、となってやっぱり全部良かったというしかないのだった。 編訳者解説も丁寧で良い。2023/06/26

くさてる

16
有名作も含まれているけれど、やはりさすがの読み心地としか言いようがないマンスフィールド。衝撃的な事件というよりは、人々の生活でふっと起きるなにかを切り取って差し出されるような、そこに至るまでの人物の心の動きが読んでいるこちらにしみいるような小説だと思う。「ガーデンパーティ」は別格として、「幸福」がいちばん好きです。2022/05/15

星落秋風五丈原

14
他の短編集に書かれていたものも含まれている。2022/05/13

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