内容説明
「日本」は着ぐるみがつくった国? 元号はこうして決まる。ニセモノはなぜ生まれるのか──。
古都鎌倉の高校生を前にイソダ先生が行った特別講義。
「歴史は好きか嫌いかの嗜好品ではなく、安全に世のなかを歩くためのむしろ実用品である」
という目からウロコな歴史の見方が反響を呼び、さらなる対話を生んだ。
「ブタやトイレに歴史はあるか」
「カミ・クニ・カネの『3K』」
「『いまだから言える』ということ」
「おめでたいときも、災害のときも」
「教養とはムダの別名である」
「歴史は実験できない。ただし、ある程度の法則性はある」
こんな授業を受けてみたかった。
図書館の本を読み尽くした! 筋金入りの学者が語る「歴史」とは。
「ビリギャル」こと小林さやかさんをはじめとする2対談を、文庫化にあたり新規収録。
目次
歴史と人間
休憩中の会話
歴史の「現場」
一冊の本がさらなる対話を生む(文庫で追加)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
102
歴史とはその人にとって過去のレファランス性があり、ある程度の教訓性があり、ある程度反復性がある。故に歴史とは、世間を歩く際の足を保護する靴と言える。但し、自分の都合良い史実だけを見ようとすると見えるものがとても少なくなってしまうものである。歴史をやっているとはご本人は実は思われていない磯田氏の鎌倉女学院高等学校での講義録が本書である。いつもの山の様な歴史的雑学は少ないが、ご本人の歴史に対する考え方とそれを高校生に伝播したいという想いからの講義録は読んでいて興味深いものであった。2022/05/03
saga
54
磯田さんが私立女子高で行った特別授業を書籍化。話し上手の磯田さんをもってしても、歴史の話を集中して聞いてもらうのは苦労している場面があったように思う。書名は象徴的だが、過去を学ぶことでデコボコ、怪我しそうな世界を、靴を履いたように安全に渡っていけるツール、それが歴史ということ。さらっと軽く読めた。2024/08/20
森林・米・畑
48
2024年最後の締めくくり、帰省途中の新幹線で読了。学校で習う詰め込みの歴史もベースとしては必要だけれど、磯田先生独自の違う視点での歴史のあり方も面白い。女子高での特別授業なので、面白く読めた。2024/12/31
さきん
41
歴史好きですというと、へえーいいねーくらい言われて戦国時代の有名な武将くらいでお互い話が続かない。歴史を通して、今起きていることが重なっていみえたり、身近なところに何百年も前の物語が詰まった遺物が転がっていたり、そういうところがもっとみんなに知ってもらえれば、靴くらいに欠かせないものとして歴史を愛してくれるようになるんじゃないかと思う。2022/09/10
yutaro sata
33
磯田さんの教養に対する熱い想い、歴史に対する好奇心に乗せられて、気持ちよく読みました。個々人の生活(ミクロ)と、国や世界のいわゆる教科書で教わる歴史(マクロ)と、その双方を行き来して初めて歴史は姿を現すんだと。2022/10/22