内容説明
8歳で学校に絶望し、不登校。死も考えたギフテッドは、どうして希望を取り戻せたのか? なぜ「だれも取り残さない社会」を目指すのか? ITの天才にして、世界が注目する<新しい民主主義>の旗手、「オードリー・タン」が生まれるまでの伝記物語。
【内容紹介】
「世界一受けたい授業」などでも話題沸騰のオードリー・タン氏。台湾のマスクマップの開発を指揮した、天才IT相として知られています。IQ180の天才、十代での起業、ITの神さまなど「勝ち組」の代表のようなイメージがつきまといますが、生まれつき重い心臓病をかかえ、小学校では、いわゆる「浮きこぼれ」。小学校3年生で不登校となり、世界に居場所などないと絶望の淵にたちます。
戒厳令下の台湾の硬直した教育体制による体罰やいじめ。それを<あたりまえ>とする社会とぶつかった9歳の唐宗漢が、いかにして世界と和解し、台湾の教育を変え、ソーシャル・イノベーションによる新しい民主主義の旗手「オードリー・タン」となっていったのかを描く伝記物語です。
目次
★プロローグ オードリーと新型コロナウイルス
★第一章 オードリーの生い立ち
○1 「ギフテッド」という困難
○2 出会い
○3 インターネットの世界と学校
○4 「オードリー・タン」の誕生!
★第二章 オードリーの仕事
○1 『g0v』とオープンガバメント
○2 もっとオープンに! もっと透明に!
○3 vTaiwanとJoin
○4 教育改革
○5 オードリー大臣になる
★あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
97
奥様が借りてきた本より。オードリー・タン氏の本は2冊目。これは小学校高学年位から読める生い立ちを軸とした本である。ギフテッドとしての苦悩や両親・家族、そして周りや各国の教育法が強く印象に残った。また、それらにより育まれた類稀な数多のものにも惹かれる。色々な角度から色々な人が読め、感想を持てる一冊だと思うが、ギフテッドではない親から現代の子達に対する視座として本書から学んだ事も多数ある。特に、情報が発達した現代社会では、子供の方が親より沢山の事を知っているかもしれない、という親の気付きの場面には衝撃を受けた2022/07/18
☆よいこ
79
児童書。台湾のデジタル大臣オードリー・タンの伝記。全ふりがな有り▽[プロローグ:オードリーと新型コロナウイルス]マスクマップ、フェクニュース対策にはユーモアを[第1章:オードリーの生い立ち]生まれつきの心臓病。ギフテッド。トロールハンギングと「おおまかな合意」[第2章:オードリーの仕事]オープンガバメント(開かれた政府)教育改革▽未来って明るくて希望に溢れているんだなと感じました。2022年。未来の可能性を信じられる良本。2023/05/28
ぶんこ
64
不思議なことに最後のページを読んでいると涙が止まらなくなった。悲しいからではない。競争しない、「中傷」ではなく『おおまかな合意』という着地点をとる台湾の仕組みに感動したのと、なんともいえない優しさを感じるからだろうか。多くの人の意見を、反対せずに、まずは聞く。みんなの問題をみんなで解決する社会。オードリーさんが幼少期から味わった数々のしょうがい、困難を解決してきたことの結果なのでしょう。この精神見習いたい。2022/08/08
たまきら
54
オードリー・タンという宝物のような人が成し遂げてきたことに感動した著者の気持ちが熱く伝わってきました。天才であるがゆえの疎外感に苦しんだ彼女が、自分を、仲間を、国を変えていく軌跡を夢中で追いました。同時にこの稀有な存在の価値を認め、抜擢できる台湾政府の柔軟性にもうっとり。多分現在は世界を変えていこうとしているオードリー・タン。まだまだ目が離せません。表紙も好みです。面白かった!2023/01/22
ショア
36
小学生でのいじめ体験で苦しみドイツ留学し自国台湾の教育を変革したいと思い中学時代にITとAIに目覚め山籠りして生きる道を悟り企業。Apple在籍時は時給1ビットコイン。幼少期の心臓病から今日を大事に生きるという精神。なにより子供の考えを聞き入れ自分の考えと違っても謙虚に受け入れ賛同し支援する両親がすばらしい。 オープンガバメントの透明性精神を世界で普及させて日本も対応せざる追えない状況にして欲しい。2022/09/04