講談社選書メチエ<br> 英語の階級 執事は「上流の英語」を話すのか?

個数:1
紙書籍版価格
¥1,705
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

講談社選書メチエ
英語の階級 執事は「上流の英語」を話すのか?

  • 著者名:新井潤美【著】
  • 価格 ¥1,650(本体¥1,500)
  • 講談社(2022/04発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 450pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065277072

ファイル: /

内容説明

「上流」の人は‘Pardon?’を使わない?! ワーキング・クラスからアッパー・クラスまで、話し言葉から見えてくる英国階級文化の世界!

カズオ・イシグロ『日の名残り』の執事スティーヴンズ、『ダウントン・アビー』の執事カーソン、そしてP・G・ウッドハウスが生み出した名従僕ジーヴズ。英国の映画や小説には教養にあふれ洗練された英語を話す執事がよく登場する。あの言葉遣いや話し方は、「上流の」英語なのか――?
‘Pardon’や‘toilet’といった日本人にも身近な英単語は、実は英国では階級の指標になってしまう言葉づかいだった!
「執事の英語」を入り口に、アッパー・クラスや、ロンドンの「コックニー」、ビートルズの登場で世界的に有名になったリヴァプールの「スカウス」などの訛りのある英語、さらにアメリカ英語に英国人が抱く微妙な感情やBBC英語、RP(容認発音)まで、著者自身の経験も交えつつ、話し言葉と「階級」が織りなす複雑で、奥深い文化を描き出す。
何気ない表現から見えてくる、もう一つの英語世界にようこそ!

【本書の内容】
はじめに
序 章 「礼儀正しい」英語はややこしい?
第1章 執事の英語が語るもの――「洗練された」ロウワー・ミドル・クラス
第2章 「U」と「non‐U」――何が「上流」で、何が「上流ではない」のか
第3章 アメリカの悪しき(?)影響――アメリカ英語と階級の複雑な関係
第4章 アッパー・クラスの英語と発音――『マイ・フェア・レイディ』の舞台裏
第5章 ワーキング・クラスの英語――魅力的な訛りの世界
終 章 標準的な、「正しい」英語とは?――BBCの試行錯誤
おわりに――「外国人」の英語
主な参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

111
英国は一度も敗戦を経験していない。清教徒革命でいったん共和国となったが、後に王政復古したので実質的に王国は続いた。当然だが上流と下流、ブルジョワと貧困層などの身分制と、それに伴う制度や習慣が壊されず残った結果、同じ英語を使いながら出身階層別に語彙や発音が大きく違う状況を生んだのだ。貴族に仕える平民出身の執事が上流の英語を話すのは別々の階層をつなぐ通訳兼コーディネーターのようなもので、衣食住から金銭感覚まで共通点の少ない強固な身分制の潤滑油として必要不可欠だった。改めて英国史のユニークさを再認識させられる。2022/07/20

榊原 香織

80
面白い!英語話すのが怖くなりましたけどね イギリスいい加減にしろよって感じ いっそのことインド英語やシングリッシュで勝負しようかしらん。 ワーキングクラスも海岸の保養地に行けるようになった頃、ミュージックホールで流行った歌の歌詞に、銀色の海、とあるのが、どちらかと言うと北国のイギリスらしい2022/09/24

南北

53
英国の言葉がいかに階級によって異なるかが小説やドラマなどの実例をあげて解説している。著者の本は何冊か読んだが、改めて英国が階級社会であることが認識できた。特にローワー・ミドルクラスが話す一見上品な言葉遣いに批判が集まるのは不思議な感じもしたが、反面納得もできた。外国人が英語を話すときはやはり「容認発音」(RP)で話す必要がありそうだ。著者自身の体験として話す前は「だいじょうぶ、お嬢ちゃん?」なのが「容認発音」(RP)で話したとたん、「どうぞ、奥様」になったというのはおもしろく感じた。2022/08/03

サアベドラ

39
英国の各階級とそれぞれの言葉遣いのややこしい関係について書かれたエッセイ。2022年刊。貴族などの称号や呼称は複雑怪奇で英国人ですら平気で間違える、アッパークラスよりも叩き上げの執事や上昇志向の強いミドルクラスのほうが慇懃で堅苦しい言葉を話す、ロウワークラスの「荒っぽい」話し方は逆にクールと受け取られる、アメリカ英語に対する愛憎、BBC発音に対する信頼など。外国人としてはそこまで肩肘張らずに「外国人」訛りのRPかGAで話せばいいのではないかと思う。英国人になりきりたいという人は相当苦労するだろうが。2022/08/05

kan

30
面白かった!英国の婉曲表現の多用や、直接的な言い回しをはしたないとする感覚と、移民国家でローコンテクストだからこそ誰にでも分かりやすくフランクな米語の表現を単純化だと眉をひそめる感覚に、ああなるほどと思うところが多くあった。アクセントや使用語彙で出自を値踏みされるのは米国も同じだが、そこに階級が加わるのが英国の複雑さだ。先日のチャールズ王のスピーチで、darling Mama, dear late Papaと呼んでいたのもアッパークラスの表現だと納得。言語の包含するものの多さに、身の引き締まる思いがした。2022/09/18

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/19499502
  • ご注意事項