内容説明
グルマン吉田健一の名を広く知らしめた食べ歩きエッセイ「舌鼓ところどころ」、全国各地の旨いものを綴り全一〇〇編を数える「私の食物誌」。長年にわたり多くの読者を魅了した、この二大食味随筆を一冊に合わせた待望の決定版。巻末に地域別目次を付す。
巻末エッセイ・辻 義一
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
33
著者は吉田茂の息子とのこと。昭和の豊かでない時代に、サラブレッドで舌も肥えてて美食三昧だったことと思います。少々やっかみが入ってしまいましたが、日本全国津々浦々訪ねて食べたエッセイです。地方色豊かでとても読みやすかったです。金沢の食を綴る頁が素敵です。「地味が肥えていて海産物が豊富」と紹介しています。「地味が肥えている」何とも言い得て妙ではないですか。氏は、北陸、関西、瀬戸内の味がこよなく好きでいらっしゃるようですが、確かに「地味が肥えている」地域かと思います。慈味でもありましょう。ごちそうさまでした。2022/05/17
たまきら
25
この表紙ではなかったはずなんですが、黄ばんでボロボロの状態でよくわからない。粋で、インテリで。そしてところどころから彼の哲学が香る。この人の文章と生き方に20代前半すごく傾倒しました。今読むと、自分は政治の世界に生きる親を持つ彼に、自分自身を投影していたのかもなあ、と感じました。でも、自分と違って彼はかっこいい。2018/02/08
しんこい
12
昭和20年代や40年代に食べ物の話かいてもぜいたくと思われたかもしらんが、特に後者は高度成長だ公害だで、昔からの伝統も名物も失われようとしていたのだろうからなおさらだ。広島のビールがうまいというので、キリンの地域シリーズを買おうかと思った。2019/02/28
うた
11
「私の食物誌」鴨なら鴨、鯛なら鯛、昆布なら昆布の味がそれぞれに旨いと言っているだけなのだけれど、吉田さんが書くと妙に口のなかに味と香りが広がる錯覚に陥りそうになるから不思議だ。グルメ漫画の恍惚顔や食レポよりもずっと旨そうに食べているのがわかるから、こちらもたまらない。2018/02/25
うた
4
旨いのだ。飯や酒がただただ旨いのだ。2024/11/18