内容説明
旅行をする時は、気が付いて見たら汽車に乗っていたという風でありたいものである――。旅をこよなく愛する文士が美酒と美食を求めて、金沢へ、新潟、酒田へ、そして各地へ。ユーモアに満ち、ダンディズムが光る著者の汽車旅エッセイを初集成。巻末に観世栄夫の逸文を付す。〈解説〉長谷川郁夫
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆりあす62
68
★★★☆☆ 吉田茂元首相の長男。麻生太郎財務大臣の母方の伯父。翻訳家、文筆家。戦後しばらくたってからの汽車旅。駅弁、お酒、田舎料理。特にお酒はお好きなようで詳しい。ただ、汽車からの風景はだいぶ変わってしまったろうから、想像するしかない。2017/10/05
HANA
60
汽車に揺られつつシェリー酒を呑む、旅先の旅館では日本酒を飲む、とことん汽車と旅と酒に拘った随筆集。百鬼園先生もそうだけど、随筆の上手い人の文章からは香気みたいなものが漂ってくるような気がする。本書では旅は日常に対する非日常というスタンスを説いているけれども、ここまでとことん食と酒の事ばかり書かれているとさもあらんという気になってくるし。金沢で鯛や岩魚の骨酒や児玉での何もない飲酒。中国飲酒旅行を読んでいると、その駘蕩とした空気が何とも羨ましくなってくる。読みながら一杯やりたくなってくるような本であった。2017/06/22
蘭奢待
56
旅のお供に飛行機の中で読んでいたが、読みかけで座席のポケットに突っ込んでおいたらそのまま忘れておいてきてしまった。残念。 戦後の話だと思うが、まだ汽車が走っていた時代。駅弁やビールの楽しさや見知らぬ街で良い宿を見つけた話しなど。まだゆっくりとした時代の空気が感じられてホッコリする。いずれまた入手して続きを読もう。 2000/01/01
ken_sakura
42
楽しい。焼売が食べたくなりました(^_^)出発駅から気持ち良く飲みながらの旅話(ベロベロじゃないやつ)身過ぎ世過ぎに忙しく旅に行けない時は、酒を飲めばそこは旅の車中(鈍行→急行→特急列車(^。^))そういう旅ばかりじゃ軽々が過ぎる。やっぱり旅はするべきだ。そして出発駅から気持ち良く飲む(^。^)準備適当。観光地適当。望外なバーや酒との出会いが楽しい。朝は枕元で飲って朝食。二日酔いの朝は肴で調子を出して飲る。飲みっぱなし(^。^)汽車酒、宿酒の肴にふむふむ。ほぼ下戸でも楽しく読んだ。おもしろ本棚の先生に感謝2018/08/19
ドナルド@灯れ松明の火
26
吉田健一の旅に関するエッセイ集。何せ戦前から戦後の古めのエッセイということと、お金がある著名人ということで旅の途中や旅先での周りの気配りやもてなしが半端ない。でも地方の食べ物に接する考え方や味覚には鋭いものがあった。2021/04/15