内容説明
食べてしまえば残らないから、はるか古(いにしえ)の食生活を再現することは難しい。何をどう食べたのか、誰がどのように得ることができたのか。これら疑問に、米の支給方法や調理、消費量、酒の醸造における女性の役割、流通する酒のゆくえ、商品が行き交う東西の市場の状況、酒宴の様子などからアプローチ。食事を成り立たせた社会の仕組みを明らかにする。
目次
古代の食生活を復元するために―プロローグ/米と飯(一日の食米〈「一日二玄米四合」/米の法定支給量/写経所文書/長屋王家木簡/「米」か「飯」か〉/炊飯と給飯〈「飯」の種類/「蒸す」か「煮る」か/飯支給の特質〉)/酒の醸造と経済(酒の醸造主体/古代の酒屋)/饗宴・共食と労働(都市の饗宴・農村の饗宴/特権としての酒宴)/乞食の風景(施行と乞食/群集化した乞食)/古代社会と食生活―エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
40
古代の食事にかかわる資料から当時の食生活を再現する試み。食べ物は消え物のため、なかなか資料はないとはいえ、延喜式や律令の記載、発掘された木簡に残された記述から位の高い官人は一日あたり米二升(現在なら八合)・塩二勺・酒一升を支給されていたとのこと。また支給形式も生米か、炊飯にわかれ、特に炊事の施設を持たない身分の低いものには炊飯支給が多かった模様。その他、饗宴の様子やその後の残飯処理のために呼び込まれる『取り喰み」という存在から貧民層にも筆が及ぶ。まだ知りたいことの全容には程遠いため、更に探求を続けます。2023/05/28
アメヲトコ
6
木簡や発掘成果などを手掛かりにして古代の食のありようを考察した一冊。古代の食のレシピ的な内容ではなく、ところどころ中世まで話が飛んだりしてややとまどうところもありますが、いくつか興味深い指摘もありました。2020/11/07
Riko
2
図書館で借りた2020/10/16
めーてる
0
主に平安時代の文献資料・絵画資料を元に古代日本人(貴族から乞食まで)の食生活について探った、興味深い本だった。今につながる習俗や、古代日本の意外な一面などが見えて、読んでいて飽きさせない。2021/02/17
しかおおう
0
出土品や文献から古代の食を考察 暮らしや文化を浮き上がらせるもので、レシピ紹介本ではないが気軽に読めた。2020/11/07