内容説明
他者にものを譲渡する「寄進」という行為は、中世社会のなかでいかなる役割を果たしていたのか。神仏が圧倒的な迫力をもって人間社会と対峙していた時代であることを踏まえつつ、在地領主や有徳人、宗教団体などを分析対象に、その実態に鋭く迫る。寄進によって生み出される新たな富や組織を明らかにし、地域社会に形成される権力のあり方をさぐる。
目次
なぜ、寄進と権力か―プロローグ/中世社会のなりたちと寄進(富が生まれるところ/荘園制をささえて/紛争解決行為としての寄進/神仏への帰依と寄進)/中世社会のひろがりと寄進(地域社会と寄進/有徳人の寄進/武士(在地領主)の寄進/「公方」の寄進と「百姓」の寄進/寄進と権力、保障と分配)/寄進をめぐる結社の成立(寄進の深化と矛盾の拡大/寄進をめぐる僧の結社/僧の結社と領主・大名/寄進をめぐる村の結社/結社のつらなりと地域社会)/戦国経済のなかの売買と寄進(地域経済の動向/東国香取社領の経済の展開/地域の金融コミュニティと寄進)/寄進をめぐる内と外―エピローグ



