内容説明
戦国時代の城は、誰の手でどのように築かれ、いかに使われて廃城となったのか。築城技術の広がり、面倒なメンテナンスやさまざまな城掟、廃城後の「古城」の再利用(リサイクル)など、文献史料を博捜し読み解く。城の年代や運用形態をめぐる論争など、城郭研究が岐路に立たされているいま、「城の使われ方」から戦国期の戦争や城郭の実態を考えるヒントを与える。
目次
城の一生―プロローグ/築城(戦国城郭の築城〈金山城事始/築城と地鎮/築城日数/城普請のシステム/築城用材の確保/築城の教科書『築城記』/建物のつくり方/土塁のつくり方/城内の植生/竹木が生えている理由/城の縄張〉以下細目略/築城をめぐる諸問題)/維持管理(津久井城を歩く/維持管理の大変さ)/廃城(終わりを迎えた城/廃城の実態)/「古城」(「古城」を訪ねて/史料に現れた「古城」)/「古城」のゆくえ(「古城」の使われ方/近世初期社会と「古城」)/その後の「古城」―エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポチ
57
築城から廃城に、あるいは廃城後の城の使われ方などが分かり易く書かれている。廃城のし仕方も、塀を壊しただけだったり、堀まで埋めたものなど色々あり面白く読めた。2019/01/26
六点
16
本邦には2万から3万とも言われる城郭がある。小は掻き揚げ土塁を巡らせた小領主の居館から、大は江戸城に至るまでである。それらの城は作られ、利用され、やがて情勢の変転や時代の要請によって廃城となったものが大多数である。殆ど一次資料が残らぬそれらの城が、どのような一生を送ったかを多数の例に因って丹念におった労作といえよう。元和偃武や寛文の破城によって痕跡すら残さぬまでに破壊されたもの。江戸時代も御留山として管理され続けたもの。そして現代に至り、コンクリート製天守を終章として、城は現代に再生したりするのだ。2019/12/07
YONDA
15
作者の城愛が感じられる一冊。城破りの仕方や古城の利用などとても分かりやすく書かれている。なぜ時を経て、現存している古城があるのかが、なるほどと府に落ちます。2018/12/13
MUNEKAZ
11
籠城戦や攻城戦といった戦での使われ方でなく、築城や日々のメンテナンス、廃城後の運命などに焦点を当てた一冊。とくに敗戦や和睦条件で廃城となった城の使われ方は興味深く、ただ打ち捨てられるのではなく、廃城後も大名の管理を受けるものもあって、戦況次第では再整備され再びお役目を果すものもあったというのは面白い(南北朝時代の城が、200年を経て戦国時代に復活する!)。よい地勢、陣地というのは不変なのだなと思わされる。2018/09/29
アメヲトコ
10
戦国期の城のライフサイクルに着目した一冊。役割を終えた城は維持するのも大変なので廃城になる一方で、壊すのも大変だからそれも徹底せず、その結果後の時代になって再び城として復活する(ときには敵方の城として!)というジレンマが面白い。領主が築いた城が廃城後「村の城」として使われることもあるという指摘も興味深いところです。2019/02/19