内容説明
戦時の食糧であり、勝敗を左右する重要物資でもあった兵粮。領国を支配する戦国大名たちは、兵粮をどのように取り扱い、戦いに臨んでいたのか。戦況に応じた調達法や、平時の備蓄、物資購入費や給与としての役割など、兵粮を「モノ」と「カネ」の二つの側面から分析。戦国期の戦争と経済の関係を明らかにし、戦国大名と社会のあり方を捉え直す。
目次
兵粮への視線―プロローグ/戦国大名登場までの兵粮(平安末~鎌倉時代の兵粮〈『平安遺文』『鎌倉遺文』から/治承・寿永の乱とヒト・モノの徴発/文治の勅許と「過分」の徴収/承久の乱・モンゴル襲来・幕府滅亡/悪党と戦争状況〉以下細目略/南北朝~室町時代の兵粮)/戦時の兵粮・平時の兵粮(調達の方法/戦場への搬送/備蓄と流出)/戦国社会の経済状況(困窮と活況/さまざまな紛争・訴訟/徳政をめぐって)/兵粮の到達点(戦争状況の拡大/領国危機のなかで)/兵粮のゆくえ―エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶ~よん
76
腹を満たすための「食料」という意味合いだけでなく、経済を回すための「カネ」としても用いられた戦国時代の兵糧について書かれた本。様々な文献を基に、調達、運搬、備蓄方法まで解説されている。時代背景に疎い私は中々話についていくのが難しかったが、食料は現代よりも貨幣より価値の高いものとして捉える人が多かったのではないかと推測する。敵地の田畑を奪うことは、兵糧を確保するだけでなく、敵の兵糧を断つので二重の効果がある。なるほど。人は食料とエネルギーが無くなると生きていけない。これは、いつの時代も変わらない。2024/12/19
YONDA
18
「モノ」としての兵粮、「カネ」としての兵粮。北条氏を例にあげて解説し、戦いの裏側を見ている気がした。第二次国府台合戦の引き金が、里見勢の「ねたん(値段)問答」だとは面白い。そして兵粮の調達・運搬に頭を悩ませる戦国大名の苦悩も垣間見ることができる。「腹が減っては戦はできぬ」を知る本である。2018/04/25
鯖
10
兵粮は米だけでなく軍事に必要な物資一般をさすと知って驚いた。戦国大名が物資の統制を図ったとしても、ただでさえ食糧自給率が低い時代だし、それを更に低くする一因でもある戦場に集めること自体が困難だし、民はもっときついよなあと当たり前のことにしみじみ。資料として使われている文書は北條氏のものが多くて、やっぱり北條すごいや…となったり。もう少し結論や概略でざっくり説明してくれるところがあるともっとよかった。2016/11/19
Mzo
10
戦国時代を中心とした中世の兵粮の扱いについて。兵粮は、食糧としてのモノだけでなく、諸々の取引に使われるカネとしての一面も有する。そういう経済的側面から書いた小説があっても面白いと思う。2016/04/10
六点
9
兵粮とは米だけを指していたわけでなく、戦争に必要な物資一般を指していたことに素直に驚いた。戦国大名は物資の統制を図ろうとしても、なかなかそれが果たせずにおり、天下一統、朝鮮進攻、島原の乱に至るまで、大名や武士が経済と流通に振り回されていた事に、こう、なにか無常観を感じた。戦争は経済を従属させるのではなく、経済に従属させられていた面もあったのではないのかなあと、ふと、考えた。2016/03/07
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