内容説明
岡っ引きの夫に先立たれたおとせ。時を同じくして息子が嫁を迎えたため、手狭な家を出て吉原で住み込みのお針子となった。元町家の女房の目に映る、華やかな遊廓の表裏で繰り広げられる遊女たちの痛切な営みと恋模様、人情劇。めぐる季節の中で、いつしか自身にも仄かな想いが兆し始め――。著者の没後10年を前に4カ月連続で新装版刊行! 第一弾となる本編には、公私にわたり交流のあった諸田玲子氏の書下ろしエッセイを収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y.yamabuki
24
おとせは岡っ引きの夫に先立たれ、吉原で住み込みのお針子となる。おとせと吉原の人々との一年に渡る悲喜交々。といっても、こういう場所なのでしんみり切ない話が多い。けれど自由に自分の人生を生きることの出来ない女達の中にも、厚い情と矜持を持って生きているものもいる。だからか話は余り暗くならず温かい。喜蝶が浮舟から譲り受けた猫のたまの話がいい。そしてラストにハッピーな出来事も。けれどこの暮らしを続けていくであろう女達や幼い禿を思うと胸が痛む。吉原の四季折々やそこでの様々の仕事の様子も描かれていて興味深かった。 2024/05/22
たけはる
9
吉原を舞台にした小説ということで購入。お針として働く主人公から見た吉原、という設定は斬新。どの話もドラマチックな描き方をしているわけではないが、読み終わるとしみじみと心に残る余韻がある。おとせと凧助の仲はどうなるのかなあと思ったらちゃんと収まるところに収まって安心。凧助に連れ添ってきたお内儀としてはいろいろ思うところはあろうけれども……。2024/01/03
犬養三千代
7
しっかり生きることの素敵さを感じる一冊。「おとせ」は今では初老?か。女郎屋にお針子綴じて、勤めに出てさまざまな人とか関わる。女郎さんより年かさという設定かつ、幇間の人との淡い恋心が切ない。、「生きる」という事の辛さ、切なさを感じる一冊。2024/06/25
犬養三千代
6
宇江佐真理さんの作品は切なさ、情け、厳しさなどなど様々な顔を見せてくれる。今回は「夏しくれ」の浮舟が心に残った。吉原から最低の切見世まで落ちても強がりではない「矜持」「心意気」が心地よい。おとせのおせっかいは江戸人情物のパターンを踏んでいる、。安心の宇江佐真理。2024/10/23
みなず
3
一気読み。江戸時代の日常に、私もまぎれこんでしまったかのような読み心地。おとせと共に、思案したり、安堵したり、むかっ腹を立てたり、気持ちが華やいだり、悲しみに暮れたり、決意をしたり…それぞれの結末は、それぞれの幸せになっていくのだろう。私好みは【夏しぐれ】【後の月】【宇江佐真理姉さんのこと(諸田玲子】。2024/08/15
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