内容説明
画家・安野光雅が「無人島に持っていく一冊」と公言してはばからない、森鴎外訳の『即興詩人』。童話作家アンデルセンの自伝的名作を、100年前に日本に紹介した鴎外の雅文体の美しさに魅せられ、波乱万丈のラブストーリーに胸躍らせて、物語の舞台のイタリア各地を巡った紀行画文集。「声に出して読みたい」原文をたっぷりと引用しながら、ローマから始まる『即興詩人』のストーリーと、画家の紀行文と美しいスケッチと。1冊で3回楽しめる、安野光雅イタリア紀行画文集。
◎「カプリ島を去るとき、もうこの島に来ることもないだろうな、と思ったものですが、わたしは、また同じ道を行くかもしれません。何年か先、すっかり年をとって、杖でもついて、おろおろとあのあたりを歩いているのじゃないか、という予感がします」(あとがきより)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
138
安野さんの「即興詩人」という絵本は盛り王が医薬の紹介が中心ですがこちらの文庫のほうは、その即興詩人名主人公たちの足跡をイタリアまで行って追いかけたものです。その場所場所の景色などが収められていて即興詩人に関するエッセイといった本で私は自分も行ったことがある場所が多かったせいか楽しめました。2016/11/29
tieckP(ティークP)
4
「繪本 即興詩人」という大型本を再構成した文庫本でほぼ内容は同じ。絵を楽しむならそちらが良いが、旅にはどこか文庫本が合う。内容はアンデルセン作、森鷗外訳の『即興詩人』の各章の流れを鷗外の原文を積極的に引用しながらまとめつつ、作中の場所へ行って安野氏が描いた絵を並べ、ときおりコメントを挟むといったもの。最初は本の方向性が珍しいので構成の把握に戸惑うが、慣れてくると、作者にとって非常に自然な書き物とわかる。つまり特定のジャンルに無理に沿わずに画家が好きな作品について紹介した、そのままの本。良くできている。2019/05/16
雨巫女。@新潮部
4
《私‐図書館》即興詩人のストーリーを掌握して、読めばよかった。風景画と風景に対する解説よかった。2011/12/05
しーまま
3
美しい絵に感動。鴎外訳の即興詩人も読んでみたい。2011/02/23