内容説明
モンテヴェルディからバッハまで
実り豊かな古楽の花園
名曲の数々、音楽の花園、実り豊かなバロックの世界。装飾的で即興性を重視、ドラマの原理が支配する宇宙。モンテヴェルディのオペラ、ヴィヴァルディのソナタ、クープランのクラヴサン曲、バッハのカンタータ。華やかな宮廷舞曲や多様な世俗器楽や厳かな宗教音楽。音楽ファンを虜(とりこ)にするバロック音楽とはどんなものか。その特徴と魅力をあまさず綴る古楽への本格的な案内書。
最近バロック音楽がひろく聞かれるようになりましたものの、まだ後期バロック音楽に偏している気味が強いようです。初期や中期バロックの作品、またフランスやイギリスの作品、さらに中世やルネサンス期の音楽も、もっともっと聞かれてよいはずです。ひろく、しかも実り豊かな古楽の花園に分け入り、未知の音楽の喜びを見いだされるために、この本が少しでもお役に立つことができれば、執筆者としてこれに過ぎる喜びはありません。――<本書「はじめに」より>
目次
1.ヨーロッパ音楽の流れ
2.バロック音楽の魅力
3.楽器が語るバロック音楽
4.オペラと宗教音楽 イタリアの声楽音楽
5.新しい様式を求めて イタリアの器楽音楽
6.優雅な宮廷音楽 フランス
7.革命と音楽の運命 イギリス・スペイン
8.「音楽の国」の誕生 ドイツ
9.バロック音楽の大成 バッハとヘンデル
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
34
バロック音楽の流れが概観できる本。バロック音楽の、主に伊・仏・独の宮廷、教会、劇場で発達してきた流れがつかめます。またクラブサンやリュートなど当時の楽器についての説明もあって勉強になりました。新たに聞いてみたい曲や興味を持った作曲家にも出会えたりしたほか、何となく、漫然と聞いていた曲やその作曲者がバロック音楽が発展していく流れのなかでどの辺の位置にいるのかを知ることができたことも大きな収穫。筆者の品のある優しい語り口も素敵で、たまに好きな作曲家の好きな曲を聞くだけという者にとってとてもためになる一冊でした2016/11/17
またの名
13
解説本なのだけど、ヴィヴァルディの音楽性はどうもついて行けなくて自分との相性が悪いと率直に告白しながら解説。 しかしマニアックな時代の音楽に対する傾倒と研究姿勢は微弱どころではなく、バッハやコレッリなど知られてる作曲家に留まらず歴史、様式、楽器にもしっかり言及。静的な美の時代から脱け出して一つ一つの動きが仰々しく動的に歪む過程の中で描かれるドラマ的原理の時代に入ったバロック期について必要な知識が、大体網羅できる。多声的なポリフォニーと同質的なホモフォニーの特徴を兼ね備えた様式は、ある意味徹底した水平性。2019/03/28
しろうさぎ
8
最近prime musicで、すすめられるまま初めての曲を次々聴いているが、浅学のせいでジャケットに書いてあるのが作曲家名か様式名か曲名か楽器名か演奏家名か見当もつかないことが多く、この本で確かめることにした。なので、通しではなく、まだつまみ読みの状態だが、初心者にはとても便利なガイドブックとしておすすめだ。巻末索引が「人名」と「その他」に分けてあり、コンパクトながら充実した情報量。一度読んだだけでは頭に入りにくい説明も、違う項目の切り口から数回読むと少しずつ理解が進んでいくのが実感できて楽しい。2021/09/28
よみこ
7
趣味のヴァイオリンでバッハの大曲に挑戦するため、バロック音楽への理解を深める意味で読んでみた。 一口にバロック音楽といっても地域や時期、使用楽器によりかなり違いがある。想像を超えて奥深く豊かな世界が広がっていた。バッハについてはその音楽を神聖視していたが、実はバッハ自身の人生経験から培われた人間のドラマの表出であるというところは非常に説得力があった。 大学で著者の講義を受けたことがあるが、その頃から少々独断的であった。本書の随所にそれが出ていて懐かしかった。2017/07/29
totssan
3
リコーダーに興味が出てきて、とある集いに参加するようになったが、とんでもなく奥深い楽器であったと認識。その関連でバロック音楽にも興味が湧き、ガイド役の本が欲しいと思い本書をまず選定、通読した。何度か読めば一通りの知識が得られるような気がする。著者の個人的感想や思いが述べられているのが親近感がわく。ビバルディはちょっと・・というのは何となくわかる!と思ってしまったり。 アイドル曲から音楽に接するようになり、授業、本、集いを通じ段々過去にさかのぼり、約600年の通史を概観したことになる。さらに遡るか?2019/12/15




