内容説明
本書は、ポリヴェーガル理論の、わが国の第一人者の著者による第二弾。軽快な筆致でわかりやすくポリヴェーガル・ワールドのエッセンスを紹介する。生物が社会性を備えるにいたる過程を私たちの身体に刻みこまれた神経と器官の億年単位の歴史からひもとく。他に例をみない精確な描写によって読者は知らず知らず現代のトラウマ臨床の課題へと導かれていく。新たな自律神経システム論から導き出された著者ならではの洞察は、専門家ばかりでなく当事者や多くの人に「トラウマの時代」を生き抜く知恵を与える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
木麻黄
3
前著「ポリヴェーガル理論を読む」のダイジェスト版にして,アップグレード版と言った趣の内容です。大著であった前作に比べると,図表が充実していて,随分とわかりやすくなった印象を受けました。とは言え,理論の中核はもちろんのことながら,学際的な知識も必要とする理論ですので,対坐するには相応の覚悟を要する一冊です。防衛カスケードに関する考察は,交感神経と副交感神経の切り替わりに関する記載があり,とても興味深く読みました。マジカルな創発を得るためは,面接者こそ変容を体現せよというメッセージに,哲学を感じます。2022/08/07
ハナさん*
0
難解だと言われる前著『ポリヴェーガル理論を読む』の前半を、ポイントを絞って、わかりやすくコンパクトにまとめた本。確かに、身体医学(特に神経系)の知識に乏しい者にも、わかりやすい説明がなされていた。この理論に特有の用語について、誤解を招きやすい点に注意喚起したり、似ている用語について、その違いを明快に説明したりと、とても親切な記述がなされている。さらに、単なる理論解説にとどまらず、ポリヴェーガル理論の不十分な点や、今後の課題についての考察がなされている。文章が時々、砕けすぎた感じになるのが、玉にキズである。2023/07/02