永遠の家

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永遠の家

  • ISBN:9784863854734

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内容説明

推理小説?シリアス?ユーモア? 虚構に潜む陰の真実。独特の語り口が読むものを霧の彼方へと誘いこむ。

芸術の破壊と再創造をめざすスペイン文学の奇才が綴る〈虚空への新たな跳躍〉を試みる腹話術師の悲しくも可笑しい幻想的連作短編集。

【著者】
エンリーケ・ビラ=マタス
1948年バルセロナ生まれ。1985年『ポータブル文学小史』がヨーロッパ諸国で翻訳され、2000年『バートルビーと仲間たち』、次いで2003年『パリに終わりはこない』で世界的に評価される。

木村榮一
1943 年、大阪市生まれ。神戸市外国語大学名誉教授。著書に『ラテンアメリカ十大小説』ほか、訳書にバルガス= リョサ『緑の家』、コルタサル『遊戯の終わり』、リャマサーレス『黄色い雨』ほか。

野村竜仁
1967 年、群馬県生まれ。現在、神戸市外国語大学イスパニア学科教授。おもな訳書に、ビオイ=カサーレス『 パウリーナの思い出に』(共訳)、セルバンテス『戯曲集』(共訳)がある。

目次

ぼくには敵がいた
別の怪物
お払い箱
底流
古い連れ合い
ぼくが願っている死に方
カルメン
展望台の塔
お話の効果
師のもとを訪れる
下着のままの逃走
永遠の家
解説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

55
『バートルビーと仲間たち』『パリに終わりは来ない』に続いてビラ=マタス3作目。腹話術師を語り手とする連作短編集だが、主体は不明瞭で繋がりを掴もうとすると非常に幻惑される。しかし、それぞれの”虚構”は文字通りに多彩で、サスペンスフルなスリラー、切ないラブロマンス、思わず笑ってしまうホラ話めいたものなど、どれも面白くてあっという間に読めた。表題作であり本全体を締めくくる「永遠と家」の最後の一文が印象深い。2021/08/16

そふぃあ

25
何かのジャンルに分類されない、捉え所のない雰囲気がある。出版時はスペインで酷評されたが仏では絶賛されたという逸話が、保守と革新の対立を感じて面白い。物語としての連なりはあまり無いが、腹話術師が出てくる点では一貫している。腹話術師が外国を遍歴するなか、あらゆるジャンル=人格を試み、やがて自我崩壊へ陥っていくような、奇妙な居心地の悪さがある。作中で自分の作風を説明するような自己言及的なところも面白い。〈虚空へのあらたな跳躍〉を絶えず試みる彼の作品が一体これから何処へ向かうのか、追いかけたい作者だと思った。2021/09/08

スミス市松

23
本書の短編群が語り手の腹話術師にとって「人生のわずかばかりの断片」であるなら、一方でそれらは彼が人生で決して忘れられなかった一つ一つの〈永遠の家〉だということもできる。これらの断片を書くことは文字通り〈永遠〉にしてしまう試みであり、ともすれば重苦しくなりがちだが、ビラ=マタスは随所にアイロニカルな色彩を塗すことで虚構の側へ持ち運ぶ。前作『ポータブル文学小史』と比べると著者の私性が色濃く反映されているが、この「虚空への跳躍」、つまり〈持ち運び〉の感覚にこそ秘密結社シャンディの面々から受け継いだ志気を感じた。2021/10/29

ハルト

14
読了:◎ 腹話術師の男の視点から語る連作短編集。▼初著者なので、彼がマルグリット・デュラスの家に二年間同居していたというのも初めて知った。(『パリに終わりはこない』)興味深い。▼腹話術師という、複数の声音を使って出来事を語る職業。そこに人間の多面性が現れ、めくるめく踊らされる。何が真実で何が嘘なのか。虚構を積み重ねて作られたものは、やっぱり虚構でしかなくて、でもそこがこの物語の旨味ある味となっている。2021/11/16

三柴ゆよし

12
オモロー。2021/09/26

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