わかりあえない他者と生きる - 差異と分断を乗り越える哲学

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わかりあえない他者と生きる - 差異と分断を乗り越える哲学

  • ISBN:9784569851570

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内容説明

●多様性が尊重される一方で、社会に広がる分断、同調圧力――。 ●私にとって「他者」とは何か、他者とわかりあうことは可能か? ●哲学界の旗手が示す「まったく新しい他者論」! 多様性の尊重が叫ばれると同時に、人々の分断が加速する現代社会。誰もが自分とは異質な存在である「他者」と生きなければならない世界で、哲学者マルクス・ガブリエルは「他者がいなければ私たちは存在することさえできない」と喝破し、従来の哲学における他者認識は誤りだったと語る。ガブリエルの提唱する「新しい実在論」から見た「他者」とはいかなる存在なのか。他者とともに、我々はどう生きるべきなのか。現代に生きる我々の「アイデンティティ」「家族」「愛」「宗教」「倫理」といった課題における、新たな解決策を提示する1冊。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

けんとまん1007

69
示唆に富む1冊。これを入口にして、あとは、各々がどう考え、動いていくか。他者をどう捉えるかは、自分自身をどう捉えるかでもある。ソーシャルメディアとアイデンティティーの切り口は、なるほどと思うし、文化・人種・地政学の視点など、思考は広がる。いかに、自分で考えることが重要であるかを考える。先に読んだ、安野光雅さんの本や、雨宮処凛さんの本とも呼応する。無目的・非効率にも意味があるというフレーズが同感。それがあるからこそ、効率的な時間も作れる。途中で書かれている家族との喧嘩の話も、なるほどと思う。2022/08/17

マリリン

45
手軽なGoogleの検索や、多種にわたるSNSへの言及は、なるほどと思える部分があった。第Ⅱ章の中の、対話と民主主義・政治は面白い。話し合いは万能の解決策…だろうか? 第Ⅲ章家族とは何か、愛とは何かと、第Ⅳ章の「2」負の感情から抜け出す…は、共感できる。パンデミックに対して言及している部分は興味深いが、共鳴できない部分もあり、本書もものの見方や考え方のひとつの側面と捉えたい。乗り越えようとするよりほどよい距離感が大切なのかもしれない。何故手にしたのか記憶は曖昧。 2022/05/28

Tαkαo Sαito

28
良著。今回初めてマルクス・ガブリエル氏の本を読んだが。現実にしっかり目を向けて地に足をつけた意見を持っていて、哲学者というステレオタイプを外して読むことができた。自分の存在はどのようなものか、他者とのうまい付き合い方、愛とは何か、他者を愛することとは何か、怒りとどう付き合っていくべきか、等現代のもやもやを分かりやすく言語化してくれている。SNSをほぼやめたと言っているが完全に同意。最近twitterをやめたがとても気分が軽くなった気がする。インスタグラムはまだやめられないが...笑2022/10/29

なこ

23
私たち誰もが共通しているのは他者性、つまり、文化、思想、細胞レベルで個人は異なるということだ。それを出発点に、分かり合えない他者とは、自他への尊厳と対話を持って歩み寄り、許し合う努力を続けていく必要がある。幸せを妨げるのも他者だが、他者がいなければ幸せにはなれない。他者への怒りや嫉妬という負の感情は、歪んだ自己概念の投影である。まずはその感情を認知し受け入れ、どう対処するかを問う必要がある。自分で自分を幸せにするしかなく、他者を幸せにすることは出来ない。しかし、幸せの条件を相手に提供することは出来るのだ。2023/05/15

テツ

18
多様性が叫ばれ尊ばれる世界であるけれど、他者とわかりあうことなどできる筈がないという誰もが知っていることについては考えもしない。差異も区別も「ある」し、人間が存在する限りなくなることはない。そうした在り方と関わり方を覚悟した上で人はどのように人と関わっていくべきなのかと考える。社会の中に存在し、隣に立つ他者との差異により、自らの人間としての形は明確になっていく。アイデンティティを探し求めしっかりとした核を構築し生きることと、そこで生まれる「わかりあえなさ」とどう対峙していくべきなのかということ。2022/04/20

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