内容説明
公卿的天皇から軍服姿の天皇へ
近代天皇像の形成過程を追う
幕末から明治へ、時代は激しく動き世の中は一変する。その中で、俄にクローズ・アップされる天皇の存在。天皇は、維新後、夥(おびただ)しい回数の行幸と巡幸を繰り広げた。雲の上の見えない存在から見える天皇・見せる天皇へ。薄化粧をした女性的天皇からヒゲを蓄えた軍服姿の天皇へ。維新の前と後の全く対照的な天皇像を通して、明治とはどのような時代であったかを解明する。
孝明天皇は、攘夷の成功を祈願するために賀茂社と石清水八幡宮に行幸した以外は、御所の外に出たことのない、一般の人びとの前には、姿をあらわしたことのない<見えない>天皇だった。いっぽう明治天皇は、巡幸や行幸などで、積極的に民衆と接したように<見える>天皇だった。父と子で、なぜこれほどまでに違ったのか。それは幕末と明治とでは、求められる天皇像が、大きく異なったからである。――<本書「はじめに」より>
目次
第1部 幕末の天皇
第1章 天皇の位置の浮上
第2章 将軍をしたがえた天皇
第3章 文久3年8月18日政変と天皇
第4章 天皇と諸侯との新しい関係
第5章 庶政委任体制と天皇
第6章 朝廷政治の終焉
第2部 明治の天皇
第1章 見えない天皇から見せる天皇へ
第2章 大元帥天皇の創出
第3章 巡幸する天皇
第4章 行幸する天皇
第5章 「御真影」の誕生
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
115
幕末と明治の各時代の天皇を比較した一冊。孝明天皇と明治天皇の違いが印象的。それぞれ立派な天皇であられたと思った。2010/01/28
たつや
47
今話題の皇室について、不勉強の自分、正直、もっと分かりやすい構成にしてほしかった。そんな本をまた、探してみよう。2017/05/23
ちゅん
5
幕末まで天皇は公家の代表者に過ぎないという認識が世間一般にはありました。実際に幕末の孝明天皇までは、京都の敷地を出ることはほとんどなく、見えない天皇だったのです。しかし、黒船来航以降日本は大きな転換点を迎えます。軍を統制し、国民を崇めさせる象徴が必要になったのです。これが、明治天皇です。天皇は薄化粧をやめ、装束を脱ぎ、軍服姿で登場するのです。天皇のあり方の転換点が事細かに知ることができる一冊です。2019/05/04
Wackey
3
図書館で借りて読んでいたのですが途中までしか読めなかったのでまた今度借りて読みます!2015/03/23
岸田解
1
「たとえていえば明治政府という日本最大の、かつ唯一のプロダクションが、社運を賭けて、天皇睦仁という新スターを、全国キャラバンで売り込んでいたのである」と云うのは、なるほどなぁ、と。2016/07/28
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