内容説明
哲学の常識は、今いかに変化しているのか?
「人間」を中心とした近代哲学の前提が今、揺らいでいる。パンデミックやテクノロジーの進化など、社会状況の変化によって、哲学には今どのような「問い」が生まれているのか?ネット時代の民主主義のあり方から、IT化と公私の変化、人新世とエコロジー、シンギュラリティとトランスヒューマニズム、動物・AIなどの「非人間」の倫理まで。哲学の最前線で起きている地殻変動を、8つの具体的な論点として提示し解説する!
〈目次〉
第一章 ネット時代に民主主義は可能か
第二章 人はなぜルールに従うのか
第三章 「公/私」の境界はいかに変化しているのか
第四章 「ポスト・ヒューマニズム」は何を意味するのか
第五章 動物・AIの権利はなぜ問題になるのか
第六章 哲学はエコロジーをどう捉えるか
第七章 人間を超えた世界の「科学」とは何か
第八章 コロナ時代の「自由」とは何か
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
42
現在の社会で露になった問題を8つの①議論に結論は必要か、②ルールはどうやって決めるのか、③プライバシーの再定義、④人間とは、⑤非人間とは、⑥エコロジーの思想性、⑦科学のイデオロギー、⑧自己決定について、に焦点をしぼり、哲学の観点から論じている。興味があったのは客観性もイデオロギーだとみる②⑦だった。社会の言葉を哲学の言葉に翻訳し、問題点を整理してそれらを論じている哲学者をピックアップしている。ある見解とそれに対立する見解が現れ、当然、問題になるくらいだから結論は出ない。それらの立場に立つと、また別の観点か2023/01/11
ふみあき
14
第五章「動物やAIにも権利はあるか」で紹介されているサミュエル・バトラーの『エレホン』というディストピア小説が気になった。2022/04/07
tetsu
13
★4 「人はなぜルールに従うのか」「動物やAIにも権利はあるか」「我々は自由意志の主体か」など8つのテーマについて深く考察。これを一回で理解することはとてもできません。 何気なくスルーしている日常を掘り下げることで見えてくる深くて広い思考の世界。だから哲学は面白いのでしょう。2022/10/21
Mealla0v0
5
本書の争点は大きく2つ、公共性の今日性と非人間の哲学であると言える。ネット時代に熟議は可能か、規範になぜ従うのか、といったことがハーバーマスを中心に批判的に検討される。他方、ヒューマニズムが近代の創造物であったことはこれまでに指摘されて来た通りだが、AIの登場、動物の権利、人新世をめぐってより一層、この問題が重要になっていると指摘される。近年の話題を総括した本だがアイロニカルな視点に貫かれていながらも手際よくまとまっている印象。個人的にはモートンとハーマンの重要性を再認識した。2022/04/02
oooともろー
4
前作から一年半くらい。コロナが収束しない中で現代哲学の役割は?根本から考える哲学だからこそ却って実践的でもありうる。2023/03/24