内容説明
都の闇に跋扈する、人ならぬもの鬼の如きもの――。妖異が見える異能の絵師土佐光信は、将軍足利義政から、人心を惑わす妖物の正体を解くよう命じられる。御所をさまよう血塗れの女や、禍々しい「呪詛屏風」、影を喰らうものや、人の泣き声を餌にするもの。将軍の心に取り憑き、裏から世を操る「鬼」……。光信が怪異の謎を突き止めたとき、真に怖ろしいのは妖物か人か――。室町ミステリー。(解説・細谷正充)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
44
室町幕府・日野富子・応仁の乱の原因。この時代は大嫌いでほんと読むのに躊躇しました。人の想いがモノに取り付く・・この時代ですもの何があってもおかしくない。自分の感情のままに人を殺めるようになった足利氏・・それだけ天災・人災と祟られつづけて精神的に凹んでいたのでしょう。ここに登場する主人公土佐光信・・実在の絵師です!。どちらを向いても庶民の死体がゴロゴロやなんてねぇ。幽玄とはなんぞやと言いたくなります。ですがこの光信さん百鬼夜行絵巻を描いたと伝えられているくらいですから、妖も視えたのかも。そして義政さんは2022/09/09
エドワード
27
中世が近世と異なるのは、人ならざるものが世を自在に彷徨っていたことだ。室町時代中期。赤松満祐の子、於菟也と共に絵を学ぶ少年、真魚。将軍・足利義教が赤松満祐に殺され、於菟也は右腕を斬られて放逐される。やがて真魚は足利義政に仕える御用絵師・土佐光信となる。いかなる政策も飢饉や戦を断つことが出来ない。諦観して屋敷の造営と作庭に逃避する義政。瓶子や扇の付喪神や妖童子が跋扈する都。人の思いにも、ものがとり憑き、光信の妻が鳴らした小鼓が応仁の乱を呼ぶ。全ては能楽のごとし。浅ましくも美しい時代を鮮やかに描く力作だ。2022/06/08
RIN
22
主人公は妖異が見える異能の絵師土佐光信。これだけ読めば如何にも陰陽師の雅で仄暗い世界を想像するかもしれないが、この作品の舞台は将軍足利義政が統治していた室町時代。旱魃や長雨、更には地震、一歩御所を出れば病や飢えで亡くなった者たちの死体が無数に打ち捨てられ、地方では大名達が戦に明け暮れている。泥臭く血腥い地獄。将軍家は内輪の権力争いばかりで義政は既に民への関心がない。文章力も表現力も申し分ないのにただ気が滅入る。不穏で救いのない、人の世の何と浅ましきこと。時は応仁の乱前夜、人を不幸にするのは人だと鬼が笑う。2024/05/21
よっち
17
応仁の乱前夜、異能の絵師土佐光信が、将軍足利義政から都の人心を惑わす妖異の謎を解けと命じられる室町ミステリ。御所をさまよう血塗れの女、いわくつきの奇怪な「呪詛屏風」、影喰らいの正体、人の悲しみを喰らう石、そして将軍に取り憑いた童子…。室町時代の嘉吉の乱の頃を舞台に描かれていて、貴族が優雅な暮らしをする一方で、庶民が貧困にあえぐような時代背景も描かれていましたけど、そんな混沌とした時代だからこそ人の心を依代にして現れる妖がいて、そんな物語の結末はさらなる混乱に繋がりそうな雰囲気があって続きが気になります…。2022/04/08
一五
6
1話目からアンソロジーで読んでて ちょっとガッカリ。時の将軍足利義政は、世間を見ないし気儘。義政になにかと使われる 絵師土佐光信は平行的?な立場 考えの人で、その交わるような交わらないような所が面白いような…2023/06/06
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