内容説明
「社会学」とは実際の出来事・問題に対して、社会学的なアプローチの方法を具体的に伝えどのように思考し説明づけるかを考察する学問である。文学や映画といった社会への強いメッセージ性を持ったメディア文化を論じることで、社会学を理解し思考力を磨いていくことができる。身近な出来事を「人」と「社会」を絡めて考え、自然と「自分について」知ることで、自己の再発見・成長にもつながる。本書はまったく新しい社会学講義の決定版である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りょうみや
13
前著の「自分を知るための社会学入門」と似た印象。社会学の理論を知っていれば、ありふれた日常の出来事、ニュース、映画もまた違った見方ができて楽しめると言いたいのだと思う。パッと読み。2019/02/16
makio37
12
著者自身の思い出話やメディア作品についての話が面白い。一方で、それら身近な題材を用いて社会学的な考察を進める、という本書の主題の部分はあまり響いてこなかった。教師の期待によって伸びる子がつくられる「ピグマリオン効果」や、生まれと育ちを通して身体に刻まれる性向「ハビトゥス」、複製技術によって作品から失われていく「アウラ」など、カタカナ文字が頭に残りやすいのは確か。日常を「社会学」的に見つめ直すきっかけにはなると思うけれど、「だから何?」というツッコミに応える何かは見出せなかった。2019/03/31
nob
10
大学の先生のおすすめの一冊。経済学や法学などに比べて、社会学は一般的に何を学んでいるのかようわからないイメージがあるらしい。この本はそのエッセンスを詰め込んでいます。社会学が日常に溶け込んでいることが、著者の体験から語られていて、なかなか理解しやすいです。特に「青春の蹉跌」を踏まえた文化資本論が好き。2019/07/17
のんぴ
10
自分の日常の思考力を磨くことにはつながらなかったかなぁ。社会学で卒論書きたい人には参考になるかも。集団の中にいると当たり前すぎて気づけないことが、ある切り口を通してじっくり観察すると、それが当り前じゃないことに気づく。例えばジェンダー。ミードのポリネシア研究によれば、いくつかの部族では女性が農耕や漁業で生計を立て、男性は育児や絵を描いているらしい。また人間は厳しい自然を克服、支配するのみならず、自らの自然な生の欲望も理性でコントロールして、自己の内部に支配すべき対象ー服従の構造を作り出した。だから何なんだ2019/01/11
hatman
8
世の中で常識や当たり前と考えがちな内容を「ちょっと待てよ」の観点で考えているのが社会学。 家族の結び付きが役割の分化によって「生産」から「精神」に変化したことはなんとなく認識していたが言語化され納得。 啓蒙の弁証法: 自然と戦う文明人は啓蒙により知的で分別に富むようになったため、その啓蒙された知性で人間も対象として捉え、(自己も含め)コントロールするという野蛮を持つ。 →ホロコースト、原爆 2022/05/21