内容説明
世界が滅びてから、もうずいぶんと経った。
ゆっくりと滅びゆくヒトの世界を眺めながら、その吸血鬼は今日も変わらず、旅を続けている。
もし、あなたがその姿を目にしたら、立ち寄ってみるといい。
荒野にサイドカーで現れる、お気楽に退屈な永遠を生きている「吸血鬼(ノスフェラトゥ)」を。
そして彼女が引いている、世界の終わりまできっとそのままの、オールドファッションなコーヒー屋台を――。
「一杯、いかがですか? ええ、面倒ごとでなければ、お付き合いいたしましょう」
人類が黄昏から夜へと至る時代、不死の少女が語り継ぐ、少し悲しくどこか優しい、ヒトの終わりの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
らいおねる
12
一つ一つの物語で分けられてるんですがもう繋がりが出てきてて、2度目の出会いの形とか接し方とかそういう部分も楽しめます。吸血鬼とかコーヒー売りとか特色あるんだけど・・・先人の旅行者の話の内容が濃いんですよね。2023/09/18
みやしん
10
荒廃が進んだ世界観の割には女性の単独行動が危なっかしい。しかし、オトコ達をモブ・ガヤ・ザコ・ワルと泥を被る役割へ押しやっているからスポットの当たる演出は、全てがそうではないものの女性ファーストの流れになっているよう。だからか百合っぽい雰囲気が漂ってきた。男性を悪役側に置くことは決して悪くはないんだけど、全体的にどいつもこいちも小物で、だったらもっと前巻以上に蹴散らされるヒャッハー集団に振り切って欲しい。2022/03/25
真白優樹
9
新たな街を巡っていき、様々な出会いと戦いを繰り返していく今巻。―――儚き人の営みを、その隣に寄り添いを。 同族の不死者と戦ったり、セレンとは別種の不死の存在と出逢ったり。前巻よりもバトル風味が高まる中、どんどんと出会いを繰り返していく巻であり、前巻にもあった独特の儚さが更に色を増していく巻である。昼と夜、二つの顔を使い分けながらもあてもなく。何処までも続く旅は、これからあてもなく何処へ向かうのか。向かっていく地平線の先、そこにはどんな出会いが待っているのだろうか。 次巻も須らく期待であるべし。2022/03/13
りのん
8
絵描きの父親とその子供たち、村を襲う吸血鬼と立ち向かう村の少女、独裁国家と科学者たち、緋色の炎とともに生まれ変わる少女、コーヒー豆の農場主である母親とその息子。1巻に引き続きセレンが旅の先々で様々なヒトやヒトならざる者たちと出会う第2巻。今回も面白かったです。個人的には吸血鬼がヒトの敵となる存在であることや、終末世界という決して楽ではない世界ゆえに貴重な、人間の温かさや前向きさを感じられる話が好みなので、そういう意味で今回だと第1話が一番好きでした。次巻も楽しみにしています。2022/08/07
ふうら
6
齢500歳、カフェを切り盛りするヴァンパイアの第2巻。 家族を守る絵描き、他のヴァンパイア、不老不死を求める独裁者、同族と出会う、コーヒー豆を購入する話。 今回はセレンの不死性が色濃く表れているお話が多く感じました。いろんな人と出会いいろんな縁を結び。続きも楽しみ2022/06/21