内容説明
「助けてください」
「学校でいじめられているわけでもないし、友達や家族と仲が悪いわけでもない。だけど死にたいんです」
「いますぐ命を絶ちたいです」
誰かに頼りたくても頼れない。話したくても、救いを求めたくても、相手がいない――。
日本に暗く横たわる「望まない孤独」を解消するため、一人の現役大学生が立ち上がった。
2020年に開設された24時間365日、誰でも無料・匿名で利用できる相談窓口「あなたのいばしょチャット相談」には、誰にも頼ることができない孤独に苦しむ人々からの相談が、日夜問わず寄せられる。
国会を動かし、孤独・孤立対策担当大臣の設立に繋げた著者が語る「望まない孤独」の正体と、孤独大国・日本が取るべき孤独対策とは。
~目次~
◆第1章
あなたのいばしょ設立までの経緯
~著者自身の原体験~
◆第2章
イギリスで定義された「望まない孤独」とは
◆第3章
増え続ける子どもの自殺相談
~欠けた当事者目線~
◆第4章
懲罰的自己責任論で苦しむ人々
◆第5章
匿名相談チャットデータで見る
“死にたい人”の思考
◆第6章
世界が注目する日本の孤独政策
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あらたん
58
筆者は「望まない孤独」なくすために、批判だけでは何も進まない現実を直視し、自ら積極的にメディアに出るし政治家にも会いにいく。使えるものはなんでも使うと覚悟が決まっているのだろう。周りを巻き込む力が素晴らしい。ぜひ目標が達成するまでブレずに突き進んでほしい。このような若者がいると日本もまだまだ捨てたものではないと希望が持てる。応援したい。2024/08/10
テツ
24
ぼく自身はわりと独りでいるのが好きなタイプなのだけれど(友人集団といるのも勿論好きだが)それは健康と一般的な収入という支えを手にして能動的に選択したいわば贅沢な孤独だからであって、望まないままに否応なく貧困などと共に押しつけられた孤独から脱げ出せない方々の言う「孤独」とは全く意味が違うんだろうな。そういう方々を救うための活動を行い、ある程度形にしてきた筆者の方の熱意と行動力には頭が下がる。居場所が見つからない、居場所を求める若い子たちが一人でも多く安心できる場所で息をつけるといいなと心から願う。2022/07/26
hikarunoir
8
自画自賛と問題提起半々。だが問題提起部は有効対策が提案されず。中高年男性自殺の自殺が多い目下の問題に、子ども自殺に対する予防策提案ばかりで。2023/02/18
いとう
5
本人の逆境体験から得た『子ども×セーフティーネット』の在り方、立ち上げたNPO法人が担うチャット相談の難しさなど、実体験をもとにした内容は非常に参考になる。本人の逆境体験をもとに言及された「親ガチャ」考察はとても感心した。 問題提起が示された後、後半で具体的な解決策や提案が示されると思っていたが、自己顕示的な内容になってしまっていたのでちょっと残念だった。2024/06/27
Kooya
3
孤独を社会的課題として捉えることの必要性と具体的な対案を示した本。著者自身が自らの原体験を契機にNPO法人を設立し、孤独対策に取り組んでいるため、現実感を持って読むことができた。「家族やコミュニティとの接触があっても自らの悩みを打ち明けることが出来なければ、社会的なつながりの質が不足している点で孤独を感じる」という主張は、一見恵まれているように見える人が内心疲弊しているケースを端的に言い表している。(コメント欄へ続く)2023/12/03