内容説明
フェイスブックはなぜ個人情報を流出させたり、フェイクニュースを拡散させたりしてしまったのか。また創業者ザッカーバーグとCOOのサンドバーグとの間には、どのような溝があったのか。関係者400人以上の証言をもとに、シリコンバレー最大のIT企業の闇を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
150
確かに問題点は書かれている。強力な力を持った会社にはつきものの問題ではなかろうか。失墜という表題は強すぎるように感じた。積極的な政治関与や醜聞の捏造などが同社によって引き起こされていたのかと思い込んだが、そうではないようだ。悪意の扇動や醜聞捏造に対して同社の対応が消極的だったことが非難されている。ザッカーバーグは善意の技術オタクで、自身が持つ影響力に比較して、悪意の投稿に対する警戒心が不釣り合いに小さかったように見える。2022/11/10
パトラッシュ
112
本書から浮かぶフェイスブック像は「参謀なき軍隊」か。優秀な作戦屋で兵器にも詳しいザッカーバーグ司令と部隊運用の達人サンドバーグ副司令の下で連戦連勝したが、勝つためには手段を選ばぬやり方が政治的に問題視されてきた。彼らだけが勝利するのを嫉視されたのもあるが、戦場の状況を探って敵の攻勢を予測したり、自軍の問題点を指摘する信頼できる情報参謀がいなかった。司令部は従来のやり方の継続を望んだため、情勢の変化に対応できず攻撃を許し士気も下がった。過去の成功体験を脱却できるかが、今後も勝ち続けられるかを左右するだろう。2022/07/30
Isamash
36
ニューヨークタイムズ女性記者シーラ・フレンケルとセシリア・カンによる2021年出版著書の訳本。フェイスブックの実態に関して実に良く取材されていて感心。マーク・ザッカーバーグは勿論だがNo2のシュリル・サンドバーグに関しても経歴や個人情報を利用して収益を上げると彼女のビジネスモデルがかなり詳細に書かれていた。個人情報を勝手に売っての酷い商売とは思っていたが本書を読んで改めてヘイト情報や嘘出まかせ情報の氾濫、社会の分断、弱者の弾圧、民主主義の弱体化にフェイスブックがかなり大きく関与していると思えた。解体に賛成2023/05/15
はやたろう
18
facebookの成長の軌跡と、莫大な利益を生み出すアルゴリズムが孕むリスク、つまり、アメリカ政治におけるフェイク情報をはじめとした重大な情報のセキュリティー問題により、多方面からその責任を追及され続けている。それを何とか凌いできたザッカーバーグは、ジェフベゾスやイーロンマスク程の器を感じさせない。しかし、人と人を繋げて、より良い世界をつくりたいという信念はぶれてないのかな。いずれにしてもアマゾン同様世界からの注目される企業は山あり谷ありだな2023/01/08
しお
15
米国のリベラル・エリートたちの2010年代の世界観を切り取ったかのようなレポート。NYTの二人の記者の取材に基づく内容とのこと。自らが信じる自由と正義を胸に、ザッカーバーグら率いる若い集団は、テクノロジーという武器を世界に振りかざす。彼らは、彼らの正義を守るためにセキュリティチームを設置し、その秩序に合わない投稿やコミュニティを規制していく。日本でも、そのうちこのようなセキュリティチームを私企業が設置するようになるのだろうか。分断されゆく現代の米国を象徴するかのような内容。2023/04/10