内容説明
ヨーロッパに繁栄をもたらしたのは、ユダヤ人、アルメニア人など迫害され、祖国を追われた人々だった。彼らなしでは近世の発展はあり得なかったという歴史の皮肉を描く、逆転の経済史。
感想・レビュー
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鯖
24
タイトルとはいうものの、ほとんどユダヤ人の経済史。ロヨラをはじめ、イエスズ会に棄教したユダヤ人が多かったというのはやっぱり驚く。国民国家というのは近現代に固有な一時的なものに過ぎないのではないかと後書きにあったが、著者のいう国家と商人との共生社会である重商業主義になりつつある今、国家と商人が互いに互いを利用しあう前近代を国を持たぬまま生き抜いてきたユダヤ人がイスラエルという国に拘泥し絡めとられているのをみると何とも言えない気持ちになる。2024/01/23
ようへい
9
全日と新日の違いも分からない学のない私が宗教、ましてや宗派の違いを理解できる訳もなく、コンベルソ(キリスト教へ改宗したユダヤ人)やらユグノー(フランスにおけるカルヴァン派(神が定めたお仕事でお金を儲けても全然OK))やら、といきなり団体名を言われても。宗教的不寛容の強い中世では追い出された(ディアスポラ)民族が国を横断した商業ネットワークを形成した。そして異文化間交易が進展するにつれ、ヨーロッパ全体の経済力が強化された。『今日は一日“プロレス格闘技入場曲”三昧』を聴きながら、改めて自分の無学に絶望した。2022/05/25
ミガーいち
3
中世の商業についてユダヤ人が活躍していることを改めて認識した。アルメニア人については知らなかった。勉強になった。星42022/06/11
takao
2
☆ユグノーとは、フランスにおけるカルヴァン派の人々。ユグノーなどの国際的な活動。2023/11/13
なかりょう
2
ディアスポラの民と聞くと、迫害や悲惨な境遇ばかりを連想しますが、その実商売に活路を見出して逞しく生き延びてきた事が読み取れました。 ヨーロッパの歴史はそこそこ勉強してきたつもりでしたが、コンベルソやセファルディムといった人々については初めて知った次第です。その流動性と多様性がヨーロッパの発展に寄与してきた事も含めて。 今日我々が当然の形態と捉えている国民国家なる概念、その立脚点も怪しいものだと認識を新たにしました。2022/10/05