内容説明
私も父も彗星だったのかもしれない。暗い宇宙の中、それぞれの軌道を旅する涙もろい存在。ふたつの軌道はぐるっと回って、最後の最後でようやく少しだけ交わった。そんな気がした。――「二つの彗星」
「遠くて遠い」父、娘たちのぬくもり、もう会えない人と風景。ひとりの人間として、母として、女として切実に生きる日常を、世界を、愛おしく、 時には怒りにも似た決意を持って綴る。闇から明かりさす世界に向かう、光のような言葉。
亡父・寺尾次郎(字幕翻訳家)について書き、大きな反響を呼んだ「二つの彗星」をはじめ、新聞、雑誌、ウェブ、これまで様々な媒体で書いた文章の他に、大幅に書き下ろしを追加。唯一無二の音楽家・文筆家による待望のエッセイ集。
目次
I
残照
愛し、日々
御身
風はびゅうびゅう
青い夜のさよなら
楕円の夢
たよりないもののために
II
あれが恋だったとは思わない
ある一日の話
カラスの話
ダンゴムシの話
ぶらぶらしているおじさんたちの話
インコの話
帰ったら犬がいた話
呵責
丼のあたたかさ
III
Zinesterの夜
FMヨコハマに行った日のこと
河童は死んでいない
原発と私
犀の角
せめて鳳仙花の種をもう一粒
「言葉以前」の人々のように
IV
高知 心の調律師/長野 無言館/高知 ちょうちょう/東京 来てみりゃ八丈は情け島/沖縄 軍用地ローン/高知 カフェパウリスタ/パラオ ジャングルの防空壕/熊本 日本の中の異国/高知 批判された南米移住/富山 姥石探索/山形 ボインの神様/福島 フクロウ信仰/宮城 石神さま/広島 言葉はいらない/高知 戦中の上林暁/千葉 なんの場所かわからない場所/鳥取 私の神様/大阪 安藤さんの部屋/宮崎 戦争と銃剣道/高知 ネオニコチノイド/東京 野口英世の顔/兵庫 手におえないもの/埼玉 ビワと雀/長野 夭折者の音楽/福岡 先入観と現場/広島 原爆孤児を助けたヤクザ/岐阜 風の神様/北海道 旭川のパラオ/愛媛 主張と主張の間をぬう/高知 ハンガーとハレルヤ/宮城 芭蕉の見た燈籠/京都 密やかに学ぶ/沖縄 和して同ぜず/長野 程度の問題/千葉 変革は静かに進む/ひとりの祈り
V
二つの彗星 ーー父・寺尾次郎の死に寄せて
長いあとがき
感想・レビュー
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じょんじょん
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阿部義彦
チェアー