彗星の孤独

個数:1
紙書籍版価格
¥2,310
  • 電子書籍

彗星の孤独

  • 著者名:寺尾紗穂
  • 価格 ¥1,881(本体¥1,710)
  • スタンド・ブックス(2022/02発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784909048042

ファイル: /

内容説明

私も父も彗星だったのかもしれない。暗い宇宙の中、それぞれの軌道を旅する涙もろい存在。ふたつの軌道はぐるっと回って、最後の最後でようやく少しだけ交わった。そんな気がした。――「二つの彗星」


「遠くて遠い」父、娘たちのぬくもり、もう会えない人と風景。ひとりの人間として、母として、女として切実に生きる日常を、世界を、愛おしく、 時には怒りにも似た決意を持って綴る。闇から明かりさす世界に向かう、光のような言葉。


亡父・寺尾次郎(字幕翻訳家)について書き、大きな反響を呼んだ「二つの彗星」をはじめ、新聞、雑誌、ウェブ、これまで様々な媒体で書いた文章の他に、大幅に書き下ろしを追加。唯一無二の音楽家・文筆家による待望のエッセイ集。

目次

I 
残照
愛し、日々
御身
風はびゅうびゅう
青い夜のさよなら
楕円の夢
たよりないもののために

II
あれが恋だったとは思わない
ある一日の話
カラスの話
ダンゴムシの話
ぶらぶらしているおじさんたちの話
インコの話
帰ったら犬がいた話
呵責
丼のあたたかさ


III
Zinesterの夜
FMヨコハマに行った日のこと
河童は死んでいない
原発と私
犀の角
せめて鳳仙花の種をもう一粒
「言葉以前」の人々のように

IV
高知 心の調律師/長野 無言館/高知 ちょうちょう/東京 来てみりゃ八丈は情け島/沖縄 軍用地ローン/高知 カフェパウリスタ/パラオ ジャングルの防空壕/熊本 日本の中の異国/高知 批判された南米移住/富山 姥石探索/山形 ボインの神様/福島 フクロウ信仰/宮城 石神さま/広島 言葉はいらない/高知 戦中の上林暁/千葉 なんの場所かわからない場所/鳥取 私の神様/大阪 安藤さんの部屋/宮崎 戦争と銃剣道/高知 ネオニコチノイド/東京 野口英世の顔/兵庫 手におえないもの/埼玉 ビワと雀/長野 夭折者の音楽/福岡 先入観と現場/広島 原爆孤児を助けたヤクザ/岐阜 風の神様/北海道 旭川のパラオ/愛媛 主張と主張の間をぬう/高知 ハンガーとハレルヤ/宮城 芭蕉の見た燈籠/京都 密やかに学ぶ/沖縄 和して同ぜず/長野 程度の問題/千葉 変革は静かに進む/ひとりの祈り

V
二つの彗星 ーー父・寺尾次郎の死に寄せて

長いあとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

78
音楽家にして文筆家。好奇心旺盛でそれを追いかける気の長さを併せ持つからこその活動の幅広さ。しかも3人の娘を育てている。エッセイを読むと、大貫妙子やシュガーベイブが好きな人は、著者の音楽を好むのが必然だったのだと納得する。亡き父親はシュガーベイブのベース担当だったとこの本の終わりがけに知る。死ぬ直前に常に不在であった父親の手をさすることにとまどい、死んでから一番近く感じることができた気がする。「私も父も彗星だったのかもしれない。二つの軌道はぐるっと回って最後の最後でようやく少しだけ交わった。そんな気がした⇒2020/07/21

じょんじょん

44
著者を実は存じ上げなくて音楽配信サイトのSpotifyのおすすめプレイリストにはいってきた楽曲を聴いて知りました。内省的で心に響くピアノ弾き語りだったので、調べたらミュージシャンであり著作者であり、波乱万丈な方であることを知りました。エッセイ以上の深い作品集ではないかと思います。それにしても寺尾さんの探求心というか、知的好奇心の 強さには感服いたしました。自分も調べながら読んでいたらとてもゆっくりな読書になりました。それも良し。この作品にあっている気がします。二つの彗星は特に同病の自分には沁みる作品でした2021/05/29

ばんだねいっぺい

29
 ミュージシャン寺尾紗穂のエッセイ集。最終章の父親の「「ねぇ、彗星」を頼む」とのヒトコトがすぅーっと胸に飛び込んできた。その場面に母親の「あなたは、目に涙をためていたのよ。」の声が重なった気がした。読むと彼女の歌声と同じように寂寥感が小さな石を積むように募っていく。2019/02/04

阿部義彦

17
株式会社スタンドブックス刊。ミュージシャンであり文筆家(現在朝日新聞書評委員でもある)の寺尾紗穂さんのエッセイ集です。音楽のファンですでにCDは3枚もってますが巻末のディスコグラフィで8枚出ていたのを知りました。バンド「冬にわかれて」はもちろん発売即ゲットしました。人となりを知らなかったのでこの本で、お父さんは元シュガーベイブのベーシスト寺尾次郎だったことや未婚の母で長女を産み、その後別な男性との間に次女三女を産み籍を入れたものの、離婚して今は娘達を養っている事、植本一子、坂口恭平と友達な事などが解った。2018/11/04

チェアー

12
身近なエッセイなので読みやすいかなと思っていたが、案外ひっかかった。なぜかと考えたら、ひとつの方向に思考が片寄らないからだ。あるエッセイで方向が示されても、それはそこで終わり、次のエッセイでは別のことを語る。だからなかなか筆者との関係が深まらない感じがした。一人ひとりの声を拾い、自分というフィルターを通してこの声を世に広めている、という感じかなあ。2018/12/13

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/13143179
  • ご注意事項

最近チェックした商品