中公新書<br> ジョン・ロールズ 社会正義の探究者

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中公新書
ジョン・ロールズ 社会正義の探究者

  • 著者名:齋藤純一【著】/田中将人【著】
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 中央公論新社(2022/02発売)
  • 中央公論新社 GW特大フェア ポイント40倍!(~5/12)
  • ポイント 320pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121026743

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内容説明

米国の政治哲学者ジョン・ロールズ(1921~2002)。1971年刊行の『正義論』において、独創的な概念を用いて構築した「公正な社会」の構想は、リベラリズムの理論的支柱となった。「平等な自由」を重視する思想はいかに形成されたか。太平洋戦線における従軍体験、広島への原爆投下の記憶がロールズに与えた影響とは。最新資料から81年の生涯を捉え直し、思想の全体像を解読。その課題や今日的意義にも迫る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

195
世界戦争の世紀に正義とは何かを考え詰めた人ロールズ。神の言葉に人間の応答可能性の由来を見た彼は、従軍体験を経て神を疑った。だが〝人格の相互承認〟の可能性を神学から引き継ぎ、それを常識やコミュニケーションの上に展開したという。ウィトゲンシュタインの後期理論を応用して人々の自律と正義感覚に基準を見出した。彼の思想の根幹をなす「公正としての正義」には、多元的な視点による相互承認が求められる。神の言葉の一元性から人間の多元性へと辿り着いたロールズは、常に理想と現実を行き来し、批判に対してオープンな心でいたようだ。2023/10/25

パトラッシュ

117
昔はどの国も一応の理想や主義主張を掲げ自らの正義を強調していたが、東西対立終焉後の国際外交は格好つけのイデオロギーすら消え失せて露骨な国益擁護ばかりだ。政治面でも自国のみ栄えればよしとするシニカルな現実主義が広まっている時代に、公正で平等な社会の実現を求めるリベラリズムは時代遅れと思われている。しかし理想や正義をゴミのように打ち捨てて平然とするのは、人の命や生に大した値打ちを認めていない証なのでは。病や戦争で多くの家族や友人を失ったロールズは、人が人らしく生きられる独断と偏見に陥らない社会正義を求めたか。2022/02/07

trazom

112
私はジョン・ロールズの著作を一冊も読んでいない。よって、本書を論評する資格はない。でも、20世紀を代表するこの哲学者の生涯と思想を網羅的に解説してくれる本書は、とても有難かった。「正義論」「政治的リベラリズム」「万民の法」という代表作を通じての思索の変遷がよくわかる。「公正としての正義」「正義か正統性か」「道理性か合理性か」「善に対する正の優位性」「公共的理性」「立憲デモクラシー」などのキーワードが現代に突き刺さる。功利主義や社会的分断が拡大する今こそ、ロールズの「理想理論」に立ち帰る意義を実感する。2022/03/07

樋口佳之

64
『正義論』の主張に触れた読者は、ロールズが支持する政府とは、不利な立場にある人びとへの再分配をとかく要請するものだと思うかもしれない。だが…彼は多大な格差を生む既存の社会構造を前提としたうえで、事後的な再分配に終始するような政治を批判している。/ロールズが現行の「資本主義」からのレジーム・チェンジを構想していることは注目すべき/原爆への評価含め知る事多い内容ですが、隙間時間読書で読み取るのは難しい部分もたくさん。同性婚についてのように中絶問題について何か語っているのかな。2022/02/22

Sam

53
リベラリズムにおける重要人物であるジョン・ロールズ。でもその割に日本での認知度は低いのでは?(単なる勉強不足?)本書はロールズの生涯を追いかけつつ「正義論」を始めとした主著を解説するという盛り沢山な内容で、それを新書でやる以上密度が濃くなるのは必然でありかなり丁寧に読んだ(「正義論」の章は二度読んだ)のだが、ロールズ特有のターミノロジーや理論構成に馴染むのは自分の理解力ではなかなか難しく、どこまで理解できたか自信はない。が、この分断の時代においてこそ指針となり得る非常に骨太な思想であると感じた。2022/01/12

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