セラフィム 2億6661万3336の翼 《増補復刻版》

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セラフィム 2億6661万3336の翼 《増補復刻版》

  • ISBN:9784835456980

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内容説明

物語は近未来21世紀初頭。
地球上のあちこちで、肩甲骨が翼状に変容し、幻覚におかされる天使病という死に至る病が蔓延してきた。
その感染によって世界中の各国では旧来の秩序は崩壊。
宗教、経済、軍事など、さまざまな問題もはらみ、人の心の不安がむき出しとなった世界---
すべてが異端の地となった世界を、その「発端」をさぐるため、謎の少女セラと二人の男・バスタザル、メルキオル、
そしてバセットハウンドのガスパルは、旅を続けていた。
目指すは新疆ウイグル自治区南部にある中国最大の砂漠、タクラマカン砂漠---。

天使、鳥、バセットハウンド--- など。
作中で使われているモチーフを見れば一目瞭然ですが、押井守の原作として、
宮崎駿氏による『風の谷のナウシカ』の長期連載が終了した「アニメージュ」誌で、
その枠を継ぐ漫画作品として企画されたものです。

しかし、連載が1年を越えるころを境に、押井と今の対立が表面化します。
著者表記の「原作」が「原案」へと変化し、物語は完結を迎えないまま、
全16回の連載が過ぎた1995年11月号で、唐突に終了します。
ほぼ同時期に、押井守は世界的評価を経た監督作『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』を発表。アニメーション監督に転身した今敏は1997年に、こちらも海外に大きな影響を与えた初監督作品『PERFECT BLUE』の公開に至ります。

本作品執筆を契機に残念ながら決別をすることとなってしまう二人の世界的クリエーター。
互いに長年口をつぐんでいたものの、このたびの《増補復刻版》では、その一方である押井守のインタビューを新規取材・収録するスペシャル版としてお届けします。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Vakira

52
26年前アニメージュという雑誌に宮崎駿の漫画「風の谷のナウシカ」の終了によって次に掲載された漫画がこれ。押井守原作、今敏作画。今敏さんは漫画家でもありアニメ監督でもある。物語は現在の様に病魔が猛威を奮う大感染の世界。背中に鳥の羽の骨格の様な突起物が盛上りやがて死に至る病、天使病。病魔によるデストピア舞台は中国。もはや日本は登場すらしない。今敏さんの絵は大友克洋のアシスタントをしていただけあって大友克洋さんの世界観を彷彿。この作品制作中に押井守さんと今敏さんは決裂。原作は原案となってしまう。そして未完に2021/01/31

くさてる

21
読み応えある重量感ある絵と、小出しにされる情報から少しずつ組み立てられていく世界観、なにより「天使病」というイメージの美しさ、深みある人物像、と面白く読み続けただけに、ラストで「いや未完なんかーい!」と声が出た。もちろん未完でも魅力的な作品であることは間違いないのですが、こういう話だからこそ、最後まで描かれるべきなんだと思いますよ……。2023/05/31

Fumitaka

4
謎の病によって分断された世界と内戦状態に陥ったかつてのユーラシア超大国、って今作り直したらすごいことになっただろうなあ。天使の表象は押井守監督版『攻殻機動隊』でも用いられており、未完ではあるが全体としての大まかな作り込みはされていたのではないか。立ち並ぶ廃墟が美しく、あと人民解放軍の戦車とか軍服とか格好良い。押井守監督の今敏先生評が最後に収録されている。「合わなかった」としつつも長所は基本的にお認めになっており、俺もまあ「合わねえな」と察した相手とは結局合わないって覚えがある。よくあることなんでしょうね。2022/10/22

kadocks

3
押井守、今敏のあのセラフィムが単行本、それも復刊ドットコムから再刊されていたとは全く知らなかった。Unlimitedありがとう。ナウシカ後のアニメージュで連載していた当時読んでいたが、せっかくこれから、と言うところで中断。経緯が押井守のインタビューで明かされているが、まあ今となっては2人がこじれて 完結しなかったから良かったのかな。完全に押井守の世界でまさかアニメ化はしないだろうけど、天使病を中心にあらゆるモチーフを詰め込んで傑作になる予感はあるけど未完になる予感もある。アレから果てしなく時が経ったなぁ。2024/01/22

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