光文社新書<br> 「廃炉」という幻想~福島第一原発、本当の物語~

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光文社新書
「廃炉」という幻想~福島第一原発、本当の物語~

  • 著者名:吉野実
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 光文社(2022/02発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334045890

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内容説明

「福島第一原発の廃炉は順調だ」「30~40年で完了する」――そんな話を信用している人もいるかもしれない。しかしそれはとんでもない話だ。使用済み燃料の取り出しは滞り、燃料デブリは取り出す方法すら見つかっていない。それではなぜ、国と東電は廃炉が「できる」という幻想を広め続けるのか。廃炉を阻む最大の要因は? 事故発生当日から一貫して国と東電を取材し続ける記者が、幻想とその背景、廃炉の本当の未来に迫る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

120
推進・反対の一方に与せず、冷静な議論に納得感がある。工期や費用が当初予想と大きく乖離するも、関係者が誠実・真摯に対応した結果なら、それを論うまい。しかし、一連の経緯は欺瞞と不誠実の連続。冠水工法から気中工法へ、凍土壁の有効性、汚染水の海洋放出など、技術的・工学的に説得力がない発表が続く。経産省や政権から「言わされている」のではと、一抹の同情を感じていたが、昨年の柏原刈羽原発の核物質防護規定違反のニュースで、私は、東電さんへの一切の信頼を失った。著者の言う「東電の原発事業者としての適格性」の問題だと思う。2022/03/28

けんとまん1007

61
この国の劣化の象徴。根拠のないことを、あたかも確実なように言い放つ、または、抜け道を必ず作る。最後は、誤魔化しえ、無視するという典型。机上の空論、自分事でなく他人事だからという精神構造。何より、この件に限らず、次の世代にツケを回し続けるのは何故なのだろうか。結局は、電気料金に上乗せするだけでなく、全て税金でカバーされてしまうのだ。そんな出鱈目は輩が、今も大きな顔をしているのだが・・・。人間性を疑うしかないのだ。2022/08/27

たまきら

46
専門用語や簡単な見取り図が冒頭にカラーでまとめてあるのは大変ありがたかったです。廃炉やデブリ、処理水問題(著者は海洋放出肯定派)など著者の視点ではありますが、わかりやすく説明されています。ぞっとするのは、「クリーンエネルギー」について私たちが冷静に学ぶ環境がないことではないでしょうか。なんて言ったって総理大臣ですら余暇が出来て自分で学ぶまで原発の怖さに気づかなかったぐらいですから(小泉さん)…。新増設や防衛費、増税。この国の中心もまた、途方もないメルトダウンを起こす直前な気がします。2022/12/13

読特

45
30~40年の工程表、22兆円に膨れる費用計画。デプリの取り出しの目途も立たず、廃棄物処理は含まれず。到底、足りるわけがない。劣化し続ける設備。崩壊前に片づけられるのか?…原発は究極の将来世代ツケ先送り。ツケを増やした愚策の数々。多くの関係者を縛った「アンダーコントロール」発言。その構造は森友問題に酷似する。お笑いネタとなった排水開口部への氷投入。勿論、流水は凍結しない。凍土壁固執により増えた汚染水はいくばくか。…あの頃内閣支持率は高かった。責めを負うべき世代はどこか?電力不足に再稼働を望む前に考える。2022/08/06

活字スキー

31
タイトルから予想はしたものの、また格別に気が滅入るものを読んでしまった。震災当日から取材を続けている著者が福島原発の実態を語る。詳細はともかく、全体的な方向性としては概ね自分のイメージと重なっており、「30〜40年で廃炉」というのは全く現実味がないということを確認させられた。廃炉だけでも数百年、高レベル放射性廃棄物の最終処分には数万年を要し、その費用は膨らみ続け、そうこうしているだけでも新たな災害や人災のリスクがつきまとう。アンダーコントロール?知らない子ですね……2022/08/09

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