筑摩選書<br> PTA モヤモヤの正体 ──役員決めから会費、「親も知らない問題」まで

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筑摩選書
PTA モヤモヤの正体 ──役員決めから会費、「親も知らない問題」まで

  • 著者名:堀内京子【著者】
  • 価格 ¥1,595(本体¥1,450)
  • 筑摩書房(2022/02発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480017369

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内容説明

子どものいる親の多くが経験するPTA。保護者間の交流などプラス面もある一方で、「?」なことも少なくない。「入退会は自由」が原則なのに、そうなっていないPTAが大半だ。個別の事情が考慮されないまま、「一人一役」などの仕組みで決められる係。そして上部団体へとその一部が「上納」されるPTA会費。各地のPTAやその上部団体で使途不明金が見つかったこともある。学校単位のPTAから、それらを束ねる「日P」まで、PTAの「モヤモヤ」に多角的に迫った渾身のドキュメント。すべての保護者、学校関係者、必読の書!

目次

はじめに
第1章 まだまだおかしいPTA
1 初のPTA活動、1年目で挫折
「入退会は自由」の確認で緊張
「よく思っていないお母さんたちがいるよ」
二度目のチャンス
2 親をモヤモヤさせるのは……
原則は「入退会自由」、けれど現実は……
「一人一役」と「ポイント制」
PTA会費は学校の「第二の財布」?
PTAは母親の仕事?
「母親への非難は父親の100万倍」
卒業式のまんじゅうをもらえない?
とまどう外国人保護者
「会員はどんなに働かせてもタダ」?
3 PTAを「変える」ことの難しさ
本部役員をへて非会員へ
札苗小のPTA改革
アンケートに見る保護者の本音
一筋縄ではいかないPTA問題
第2章 これだけは知っておきたいPTA
1 PTAの仕組みの基本
学校単位の「小さなPTA」
お金から見たPTA
PTAの独自ルール
「大きなPTA」の仕組み
2 PTAはどのように始まったのか?
「小さなPTA」の誕生
「大きなPTA」の結成、文部省が推進
「日本型PTA」の完成
先生たちとPTAの関係
PTAをめぐる保護者たちの動き
行政にとっての「潜在的利用価値」
戦前の「要綱」と現代の「支援法案」
第3章 親も知らないPTAの世界
1 「大きなPTA」の解剖──「P連」の世界
PTA会長たちが抱える負担
上部団体は「補助金の受け皿」
うまみのある「PTA保険」
上部団体メンバーに見られる三つの特徴
2 PTA組織の頂点、「日P」とは?
大量動員の全国研究大会
全国大会は「街おこしイベント」!?
「PTAに上下関係はない」は本当か?
日Pは「保護者代表」なのか?
「親の願い」は掛け声でミュート
本音炸裂、日P会長との一問一答
役員経験者の「元が取れない」発言
唐突だった「日P会館」取得
日PのOBにも「日P不要」の声
第4章 「大きなPTA」はどこへ行く?
1 「親学」とPTAと現実政治と
「親学」の圧倒的な存在感
「親学」の勉強会に参加
「親学」と自民党政治家とTOSS
「親学」誕生の経緯
真の狙いは「家庭教育推進法」制定?
「親学」提唱者の来歴
「親学」の普及に熱心なPTA団体
PTAも「親学の砦」に?
2 PTAと日本青年会議所(JC)
PTAもJCも「道徳」推し
PTAとJCの共通点
「大きなJC」の政治的主張
「実は教科書採択委員なんです」
「教育再生」の中核には「徳育」
PTAとJCの連携強化?
第5章 これからのPTAのために
動き出すPTA問題
どこが、どう変わるといいのか?
「変わる」ために、どうしたらいいのか?
PTAは「自然現象」ではない
問題を指摘することはPTA活動をしてきた人の否定ではない
保護者同士の対立にしない
教員との対立でもない
意見表明・異議申し立てのための回路を持つ
突き詰めると「PTAをどう変えるか」ではないのかも?
スマートで耳ざわりのいい掛け声に乗らない
特別編 不合理なことは不合理だと声を出す……前川喜平氏インタビュー
日P「1千万会員」の政治力
会社員には難しいPTA活動
文科省の教育は「自ら考えて行動する人間」を育てなかった
「無駄な行事だ」と声を上げる
PTAのマンパワーに依存する日本の学校
地域に学校を開くとき、試される自治力
PTAと文科省の関係は?
「日本社会の病理みたいなものがつまった」PTA
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たまきら

32
自分はPTA広報を楽しみましたが、同時に不思議な決まりごとに戸惑ったのも事実。この本で紹介されている出来事は多かれ少なかれ感じたことがあるリアルでした。ここまで踏み込んできちんとPTAを批判している本は初めて読んだかも。でも、そんなに嫌わないでも…とも思いました。働くママと主婦ママの確執なんて感じないし、オヤジの会は無邪気だし。あんまり最初から否定的に見ないで、レポーターみたいな気持ちで観察しつつも楽しんでほしいな。…だって、PTAはっきり言って義務だから。どうせやるんだから楽しまないと損だもの。2021/10/08

さとうしん

11
労働力の搾取、教員がやるべき仕事、あるいは公費で賄うべき仕事の肩代わりという問題から始まり、親学、道徳教育の問題へと広がっていく。PTA改革につきまとう「イヤなら辞めろ」という言葉が日本の他の物事に広がっているが、これを錦の御旗にさせてはいけないと思った。2022/01/07

てくてく

5
子どもが通う学校のためになれば、あるいは子どもが学校に通えば当然に、と言う感じで加入が今なお強制的なところがある本来的には任意組織で学校とは別の組織であるPTA活動のわからなさなどについて、1つの学校規模のPTAとそれが組み込まれているピラミッドの頂点としてのPTA組織の両方について言及されており、読みごたえがあって良かった。2023/07/14

ちや

5
大風呂敷を広げてまとまらなくなっている感じがする。2021/12/06

jackbdc

5
モヤモヤの正体は日本社会の構造的な諸問題の難解性か。まあ納得。著者は論理的で分かり易い文書で語っている。人柄も中立的で誠実なように思えた。しかし、著者との心理的距離が近づかないのは何故なのか。その理由は著者論理に二枚舌的な不誠実さを見出したからなのかもしれない。著者はPTA活動の非効率・非論理性をあげつらった。私は、集団で行う地域活動はその内部に非効率性や非論理性を抱え込むのが必然だと考えている。著者自身も問題解決のために対話や熟議(非効率で非論理的なものを内包する)を尊重する必要性を認めているのだから。2021/10/22

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