内容説明
太陽は毎日輝いている。そりゃそうだ。けど、輝き果てた後には何が残るのか? 金か、それともカネかーー。新宿の安ホテルで、アフリカの赤ちゃん工場で、パリの蚤の市で、インドの湖畔で、我ら人類は飽くなき欲望をスパークさせ、挙げ句の果てに太陽による錬金術が完成。ついには不老不死が実現する。バンザーイ!……なのかどうかはあなたが決める。異能の芥川賞作家の伝説的デビュー作。(解説・町田康)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
39
飽くことなき欲望が貫かれています。奇跡の異脳万歳。2023/10/22
みき
12
人類のディストピアとして、退屈を提示している。溶け合う肉とか、錬金術とか、究極的で極端なことで、そのディストピアを終わらせようとする。実際に起こったことについて述べているのか、空想について述べているのか、曖昧な文章がとても魅力的だった。断ち切るような一個一個の言い切り型な語り口調が、預言者っぽくてなおもよかった。2023/03/09
紺色灯油
9
「厳密に言えば、太陽は燃えているわけではない」最初の一行と最後の一行にちゃんとこだわっている作家は好き。偏った嗜好かもだけど、この合計二行が私的作品評価ポイントの四割くらいを占めてる。逆説、すごく面白かったのに最後の一行が微妙だから私にとっては凡作、みたいなこともあるんだけど……。2022/07/21
十文字
2
同じ著者の『私の恋人』や『ニムロッド』に比べると、荒削りでちょっと読みにくかった。 すべてが溶け合うようなイメージはデビュー作からあったのか。そしてそれは、レムの『ソラリス』のイメージだったのか。2022/07/22
ほうじちゃ
1
ぐるぐると色々なことを考えながら読み進めていく楽しさがありました。上田岳弘さん最高です。 「わかんなくてもいいや!」くらいの気概があるとちょうどいいと思います。2023/06/21