内容説明
太陽は毎日輝いている。そりゃそうだ。けど、輝き果てた後には何が残るのか? 金か、それともカネかーー。新宿の安ホテルで、アフリカの赤ちゃん工場で、パリの蚤の市で、インドの湖畔で、我ら人類は飽くなき欲望をスパークさせ、挙げ句の果てに太陽による錬金術が完成。ついには不老不死が実現する。バンザーイ!……なのかどうかはあなたが決める。異能の芥川賞作家の伝説的デビュー作。(解説・町田康)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
toshi
58
芥川賞作家による2014年のデビュー作。表題作で新潮新人賞を受賞しました。「太陽」「惑星」どちらの作品も独特な空気感が横溢しており、筆者の確かな世界観が物語をしっかりと構成しております。さながら純文学とSFのハイブリッドといった感じで、私は円城塔氏の一連の作品を想起しました。今度は芥川賞受賞作の「ニムロッド」を読んでみたいと思いました。2025/01/09
優希
41
飽くことなき欲望が貫かれています。奇跡の異脳万歳。2023/10/22
すーぱーじゅげむ
19
まず、2013年に書かれたもので、旧ツイッターやFacebookの雰囲気も今とは違ってただろうなぁとか、2020年に東京でオリンピックが行われていて、しかも観客がいることへのいろんな思いがありました。ふたつとも、最後に残るひとりの天才が、本当にそんな光景を望んだのか。民衆の曖昧なゴーサインを担保に、いつのまにかそうなった、というように見えました。人物に血が通っているように見えるので、太陽のほうが好きかなぁ。2024/07/26
みき
15
人類のディストピアとして、退屈を提示している。溶け合う肉とか、錬金術とか、究極的で極端なことで、そのディストピアを終わらせようとする。実際に起こったことについて述べているのか、空想について述べているのか、曖昧な文章がとても魅力的だった。断ち切るような一個一個の言い切り型な語り口調が、預言者っぽくてなおもよかった。2023/03/09
紺色灯油
11
「厳密に言えば、太陽は燃えているわけではない」最初の一行と最後の一行にちゃんとこだわっている作家は好き。偏った嗜好かもだけど、この合計二行が私的作品評価ポイントの四割くらいを占めてる。逆説、すごく面白かったのに最後の一行が微妙だから私にとっては凡作、みたいなこともあるんだけど……。2022/07/21