ハヤカワ文庫SF<br> 男たちを知らない女

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ハヤカワ文庫SF
男たちを知らない女

  • ISBN:9784150123581

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内容説明

男だけが感染して数日で死亡する新型インフルエンザが発生し、瞬く間に世界中に広まった。最愛の者を失い、生き残った女たちは!?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

128
男にのみ致死性の高い疫病が蔓延した世界とは、日本では漫画『大奥』や『終末のハーレム』で知られた設定だ。同じ状況を描く海外作品は初めてだが、日本では政治の思惑と関係者の物語なのに対し、こちらは男のいない世界を生き抜こうと必死にもがく女たちのドラマ。男の家族やパートナーを失って悲しみに暮れながら、否応なく男性上位社会が消滅した暗闇を手探りする姿が生々しい。また治療するワクチン開発に携わる研究者が中心のため、コロナ禍で苦しむ読者には身近に感じられる。ジェンダーでも破滅SFでもない、力強い人間賛歌となっている。2022/04/30

ワッピー

39
コロナ禍の前に書かれていた作品だが、今読むとまさにリアルに感じてしまう近未来・社会派・ジェンダーSF。男性だけが死んでいく疫病が突如発生し、瞬く間に世界を席巻する。パニック、危機と崩壊、社会機能の回復、ワクチン開発の経緯が政治家・医療従事者・研究者・警官・市民たちの目を通して描かれ、LGBT、免疫を持った男性の視点も網羅されている。新生児の隔離や男子児童の強制疎開、社会維持のための強制労働、人工授精の優先課題など痛みを伴う非情な施策を実施しつつも、各人の抱える傷の深さには言葉を失う。まずはおススメ。⇒2022/03/09

だまし売りNo

38
パンデミックを描いたSF小説。医師が新たな感染症の危険を行政に報告するが、行政は対応しない。現在の日本政府の新型コロナウイルスの対応を見ているかのようである。 2023/07/16

姉勤

36
2025年、未知のウイルスによって世界の男性の9割が死亡する。残された大多数の女性たちが新たに創り出す世界とは?著者が女性だったこともあり、母、妻、娘としての心理の描写には、男の視点としてリアルに思えた。しかし、世界を描く思考実験として、あまりにも分母が小さすぎ、世界観を突っ込むのも無駄と思えるような、個人の心情的物語が続く。テーマは受け取れたが、それならばむしろ女性だけが参加する仮想空間を舞台にした方が相性が良かったかも。価値観=リアルと感じる上流階層の欧米白人女性の傾向か。そういうと差別なんだろうが。2023/03/17

混沌工房

21
男性だけがかかる致死率9割の疫病とのことでよしながふみの『大奥』をイメージしていたが違った。むしろ今のコロナ禍社会を彷彿とさせるような描写の数々。症例の第一発見が黙殺されたり、集団パニックが起きたり、ネットに陰謀論がアップされたり、客船が海上で隔離されたり。わたしの一人息子がもう成人でよかった、もし乳幼児だったら不安になって本を放り投げていた。様々な立場の女性が登場するので読んでいて少し混乱した。不妊治療受けて娘を生んでいればと後悔したり、娘がいるママ友に嫉妬するあたりには共感。邦題はなんか違う気がする。2023/01/20

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