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内容説明
【谷口ジローコレクションについて】
世界的に高い評価を受けるグローバルなマンガアーチスト・谷口ジロー。今回は小学館との共同出版で全10冊を刊行。「谷口ジローコレクション」と銘打ち、紙書籍版ではB5判の特製本となります。2021年10月より毎月刊行。小学館は①父の暦②遥かな町へ③冬の動物園④欅の木⑤青の戦士を刊行。双葉社は『「坊っちゃん」の時代』シリーズ5冊を刊行します。
【本書の内容】
それは鴎外 森林太郎の青春であった。いや近代日本の青春そのものであった。明治二十一年九月、鴎外を追い掛けて単身横浜港に降り立った舞姫エリス――。家と個人、国家と愛、日本と西欧のはざまで、鴎外の苦悩は遙か歴史を貫き、現代を照射する。第二回手塚治虫文化賞を受賞した傑作、待望の第二部。 (※紹介文中の「鴎」の字は略字)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
32
谷口ジローコレクションで再読する『秋の舞姫』。二葉亭四迷の葬儀に参列した森鴎外が、21年前を回想し、物語が始まっていく導入部が素晴らしい。鴎外こと森林太郎と、二葉亭こと長谷川辰之助、それぞれの青春を描く。『『坊っちゃん』の時代』第二部である本作は、第一部同様、すれ違いのドラマが効果を発揮する。26歳の軍医・林太郎はわずか4歳の東條英機を肩車し、24歳の長谷川は橋の上で16歳の樋口夏子、のちの一葉から飼い犬を託される。出会いとも言えないすれ違いが、すでに歴史を知る読者には運命のように思えてくる。(つづく)2022/01/03
go
3
大傑作だなと。一巻の漱石の話より遥かに面白い。エリスが非常に魅力的。外国人であるエリスが義を重んじ、それがまた古い時代とも重なっている気がした。そこに同調する男達は美しく見えた。対照的に林太郎は優秀だが弱い。でもその弱さゆえ今もその作品が読まれているのではとも思う。明治というのはやはり外国との関係、その距離感をどう取るかが重要だったんだと思った。あと村上春樹のデビュー作の書き方が、二葉亭が浮雲を書いた時のやり方と同じ。新しい日本語文章を作ろうとしたらそういうやり方になるのかと思った。2023/01/29
niki
1
エリスが魅力的すぎる。 『舞姫』は昔から好みではない。男性側の都合のいい恋愛もどきとしか感じられなかったからだ。 だけれど今回とにかくエリスには大変な興味を抱いた。実際はどんな人物だったのだろう。2022/12/14
つじー
0
「舞姫」をめぐる森鴎外の煩悶を歴史上の人物たちの邂逅を交えて描いている。ストーリーに躍動感があり面白い。また、現代人が当たり前に持っている感覚や言葉遣いを、明治人は手探りで探っていたことがよくわかる。二葉亭四迷がロシア語を勉強していた話を聞いて、川越宗一『熱源』に彼が登場したシーンを思い出した。2022/06/28