内容説明
作家・曽野綾子の知られざる真価を示す、ミステリ作品集。殺人、犯罪、事件を題材とし、謎解き、犯人捜しの要素を含みつつも、人間心理、人生や運命の綾、明暗、日常に潜む恐怖を描く。いずれも1960年前後に集中的に書かれた作品群である。表題作は、『宝石』誌の編集に携わった江戸川乱歩がみずから依頼した経緯があり、しかも本格物。乱歩は本作を掲載できたことを「いささか自慢していいのではないかと思っている」と自讃している。
(収録作品)
ビショップ氏殺人事件
華やかな手
消えない航跡
競売
人生の定年
佳人薄命
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
涼
60
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2022/09/post-3ca459.html 曾野さんって、結構ミステリーを書いていらっしゃるようです。2022/09/22
HANA
59
曽野綾子のまさかのミステリ傑作集。冒頭の「ビッショップ氏殺人事件」は堅実な造りながら、ある一つの事実を切っ掛けに犯人のトリックが崩れていくという構成が実にいい。ただその他の作品は60年代に書かれたという事もあり、当時のミステリに求められていたもの、鬼面人を嚇すような派手な妙に入ったトリックは無く、どちらかというと人間関係や人生の隙間に発生した奇妙な事実の方に重点が置かれている。「華やかな手」のある事実等、現代では成立しないだろうし。当時の思想風俗も多分に含まれているので、そちら方面からも面白く読めました。2023/04/04
ひらちゃん
55
曽野綾子さんがミステリー?わぁ、気になるなあと思ったら、だいぶ前に書かれたものでした。ビショップ氏のみ読了。とても読みやすかったです。2022/05/15
さくらっこ
38
曽野先生はエッセイを中心に読んでいたが、ミステリーは初めてだった。表題作で「100円札(硬貨でなく紙幣)でタバコを購入」という記述が出てきて、これいつの時代?と驚いた。なんと私が生まれるよりも前に書かれた作品であった。半世紀以上も第一線の作家として活躍されている曽野さんはすごい作家だ。この1冊の中では、「人生の定年」と「佳人薄命」が印象に残った。前者はエリート男性に嫁いだ女性が夫からモラハラを受け、後者は裕福な家庭の美女が不治の病に罹患する。どんな人生も幸せと不幸が入り混じる。時代が変わっても人は人だ。2023/11/21
のんちゃん
31
若い頃よく読んだ曽野綾子さんの、ミステリ傑作選があると知り読んでみた。6話所収の短編集。確かにミステリーなのだが、裏表紙のあらすじにある様に「人間の心理、人生や運命の綾、明暗」等が色濃く著されていて、ミステリーでありながらも、濃厚な純文学を読んだ後の気持ちになった。全ての作品が1950年代末から1960年代初めに書かれた短編であり、そこがまた、私の好きなロジック積み重ね謎解きの作品になっており、ワクワクしながら読めた。編者の日下氏の解説にある様に人の心の有り様は昔も今もあまり変わらないのかも知れない。2023/04/29
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