内容説明
コロナ感染症パンデミックは、多くの人の生活スタイルを変え、職を失わせ、人間関係も変えていった。そのようななか、メンタルヘルスにおいて最もハイリスクなのが、最前線の医療従事者である。治療薬もない状況下、ワクチン接種のみで患者の治療やケアを担う医療従事者は、クラスター発生がもたらす混乱のなかで疲弊し、さらに偏見やデマ、スティグマなどが追い打ちをかけ、まさにギリギリの状態で医療活動に従事している。
このような背景のなか、クラスターの起きた病院関係者への心の支援に注力している福島県立医科大グループにより、第一線で感染症対応にあたっている医療・介護従事者(レスポンダー)への外部からのさまざまな支援方法、病院への対応方法、セルフケアなどをまとめたものが本書である。Ⅱ部には医療従事者による座談会も掲載した。
互いに支え合うことすら制限される現場で、それでも離職者を減らし、レジリエンス・士気を高めるための奮闘の過程が示されている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobu
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現場では様々な試みが行われ、論文でも出始めているが、私が知る限りは類書としては初めての書物と思う。福島県立医大の支援者支援の取り組みと当初より同様の取り組みを行なっている日赤と国立がんセンターの取り組み。心理士が中心に働いている様子がよくわかる。コロナ病棟だけでなく、クラスター発生事業所、介護施設、療養施設への援助など、場面に応じた援助方法の実際を述べられている。ピアサポートの実際など、具体的な方法が述べられ実用的。全面に立つ看護師の援助が主であるが、管理職の援助に対する言及が少ないのだけ気になった。2022/02/27