内容説明
「ああ、そうだわ――喪服を用意しておかないと……」ふと目醒めた枕上の暗闇で、妻が口にした一言が、夫の胸に暗い疑惑を棲みつかせ、恐怖の波紋をまき起こした。妻は一体、誰の死に備えようというのか? そして死は確実に準備されて……という表題作はじめ、平凡な日常の仮面の下に隠された、戦慄の人間ドラマ7篇を収めた推理傑作集。人間心理の闇を鮮やかにえぐる戦慄の意欲作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
58
著者のミステリというと、しっとりとした情緒や影絵のような男女といったイメージが強い。本書にも確かにそういったものは収められているのだが、今までの著者のイメージを裏切るような作品も収録されていて、そちらもまた意外な一面を見せられている様で楽しい。新幹線で起きた奇妙な出来事や女教師とそれを慕う不良とかは、それに加えて時代を感じさせられるし。そういった意味では白眉は「代役」だと思う。著者らしいどうしようもない運命の皮肉と、アイデンティティを犯すホラー要素が上手い具合にマッチングした傑作で、非常に読み応えあり。2024/08/25
James Hayashi
13
著者の初期の頃の短編集。かなり緻密で「ここまで凝るか」というような作品もあった。独特の雰囲気を持ったミステリー。この人の作品は、結構頭を使う。読後疲労感が残った。2015/02/07
Ribes triste
10
冒頭の「白い花」は私好みの連城さんらしい1編でした。表題作「密やかな喪服」は怖すぎて、私には完全にホラー。そして「黒髪」の三つどもえの愛憎の泥沼は強烈でした。2018/02/23
マヌヌ2号
3
「代役」「ベイ・シティに死す」は再読。全体通して、あんた好きねぇ~と言いたくなるようなひねた構成のオンパレード。各短篇は一見バラエティに富んでいるけれど、どの短篇を見せても連城の作品だと当てられそう。作家性がつよい。あ、ぼかぁ「白い花」をベストと考えます。とんでもなさと静寂が、不思議に両立している2024/10/21
yonemy
2
連城節らしからぬ男と女の情念が絡まない新幹線と暴走族のお話が面白い。2話とも時代色鮮やかで、日本に勢いが漲っていた40年前が懐かしい~。往時不倫が大流行していたが、恋愛事情も強気で、「黒髪」なんて妻と愛人の激闘がいい感じ。勝手に脳内映像が結ばれました。連城ドラマは木村佳乃さん主演のモノ1本しか見たことがないのですが、ドロドロイケイケで激しかった~。他にも見たいものです☆2024/06/17
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